こんにちは。asovica(アソビカ)、運営者の「りょう」です。
「スタッドレスを買わずに、オールシーズンタイヤで冬を越せないかな」と考えている方は多いですよね。履き替えの手間も保管場所もいらないので、魅力的に見えるのも当然かなと思います。
ただ、ひと口に雪道といっても、浅雪・圧雪・凍結で条件はまったく違います。今回はJAFの実測データと、タイヤメーカー・NEXCO・国土交通省の公式情報を確認しました。そのうえで、どこまで走れてどこから危ないのかを路面ごとに整理しています。
住んでいる地域と使い方(通勤・レジャー・帰省)の組み合わせから、自分に合うかを判定できる表も用意しました。私は整備士ではなく一般のドライバーなので、同じ目線で一緒に確認していきましょう。
- 浅雪・圧雪・凍結ごとの、オールシーズンタイヤで走れる範囲
- スタッドレスとの制動距離の差(JAFの実測データ)
- スノーフレークマークと冬用タイヤ規制・チェーン規制の関係
- 住む地域×用途での判定と、スタッドレスが要る人の買い方・費用
結論:浅雪の雪道は走れる、圧雪と凍結は危ない
結論から言うと、オールシーズンタイヤで大丈夫なのは降りはじめの浅雪やシャーベット状の雪道までです。踏み固められた圧雪の坂道や、凍結したアイスバーンは「危ない側」と考えてください。年に数回の浅雪を街乗りでしのぐなら、十分に頼りになります。一方、圧雪・凍結が日常の地域やスキー場通いなら、スタッドレス一択です。

路面ごとの線引きを、JAFのテスト結果とメーカー公式の評価から整理すると、次のようになります。
| 路面 | オールシーズン | 根拠・目安 |
|---|---|---|
| 降りはじめ・うっすら積もった浅雪 | ◯ 走れる(慎重な運転が前提) | メーカー各社が「軽微な雪道なら走行可能」と説明 |
| シャーベット(半分溶けた雪) | ◯ 走れる | グッドイヤー公式の評価で◯(スタッドレスは◎) |
| 圧雪(平坦な道) | △ 止まれるが距離が伸びる | 制動距離はスタッドレスの約1.3倍 |
| 圧雪の坂道 | × 危ない | 勾配12%の圧雪坂で、坂の途中からの発進では登れなかった(JAFテスト) |
| 凍結路・アイスバーン | × 走ってはいけない側 | 氷の上の制動距離は夏タイヤとほぼ同じ |
| チェーン規制区間 | × チェーンなしでは通れない | スタッドレスでも同じ扱い |
同じ「雪道」でも、路面の状態で答えが真逆になるのがポイントです。JAFも、積雪路なら夏タイヤよりグリップすると認めています。そのうえで、凍結路はスタッドレスに大きく劣るので過信しないよう呼びかけています。
昼に走れたシャーベットの道も、夜から朝にかけて再び凍れば「走ってはいけない路面」に変わります。
オールシーズンタイヤを売っているメーカー自身も、公式の注意書きで使う場所に線を引いています。
| メーカー | オールシーズンタイヤの公式の注意書き(要旨) |
|---|---|
| ブリヂストン | 非降雪地域で急な浅雪に備える位置づけ。頻繁に雪道を走るならスタッドレス |
| グッドイヤー | スタッドレスタイヤではない。過酷な積雪・凍結があるエリアではスタッドレスを推奨 |
| ヨコハマ | 凍結路面や過酷な積雪路面ではスタッドレスを装着 |
| ミシュラン | 「雪も走れる夏タイヤ」。積雪・凍結路を日常的に走るならスタッドレスを推奨 |
ミシュランの「雪も走れる夏タイヤ」という表現が、一番わかりやすいかもしれません。スタッドレスの代わりではなく「雪にも強い夏タイヤ」と捉えると、判断を誤りにくいかなと思います。
スタッドレスとの違いを雪道の制動距離で比べる
スタッドレスとの差は、圧雪路では制動距離が約1.3倍、氷の上ではほぼ夏タイヤ並みという形で表れます。雪には一定の効果があるものの、氷にはほとんど効かない。これが実測データから読み取れる結論です。

1.3倍って聞くと、そんなに変わらない気もするけど…実際はどうなのかな?
倍率だけだとピンとこないですよね。何メートル先で止まるのかに直すと、印象が変わるみたいですよ。
じゃあ、実際の距離で比べてみようよ!
ここで使うのは、JAFが2017年2月に、北海道士別市の交通科学総合研究所で行ったユーザーテストです。新品のスタッドレス・オールシーズン・夏タイヤを同じ条件で比べた、第三者の実測データになります。(出典:JAF『走れても止まれない、雪道のノーマルタイヤ(JAFユーザーテスト)』)
少し古いデータですが、私が調べた範囲では、これ以降に同じ形で比べた第三者の公開データは見当たりませんでした。製品の改良は続いているので、傾向をつかむ目安として見てください。
圧雪路はスタッドレスの約1.3倍の距離で止まる
時速40kmから急ブレーキ(ABS作動)をかけ、3回の平均をとった圧雪路の結果がこちらです。
| タイヤ | 圧雪路の制動距離 | スタッドレスとの差 |
|---|---|---|
| スタッドレス | 17.3m | ― |
| オールシーズン | 22.7m | +5.4m(約1.3倍) |
| 夏タイヤ(ノーマル) | 29.9m | +12.6m(約1.7倍) |
オールシーズンは、スタッドレスより5.4m長く進んでから止まっています。停止線や前の車までの距離を考えると、無視できない差ですよね。
一方で、夏タイヤと比べると7.2m手前で止まれています。雪の上ではオールシーズンにも確かな効果があり、「夏タイヤよりはずっとまし」なのは間違いありません。
気をつけたいのは坂道です。同じJAFのテストでは、前輪駆動のコンパクトカーで勾配12%の圧雪坂を登る試験もありました。平坦な道から助走をつけた場合は、登れなかったのは夏タイヤだけで、オールシーズンは登り切っています。
差が出たのは、坂の途中で一度止まってから発進した場合です。スタッドレスとチェーンは登れましたが、オールシーズンは夏タイヤと同じく登れませんでした。止まる距離が伸びるだけの平坦路と違い、坂では渋滞や信号で一度止まると「進めない」ことがあるわけです。勾配20%の圧雪坂になると、平坦な道からでも登れたのはスタッドレスだけでした。(出典:JAF『雪道での登坂テスト(JAFユーザーテスト)』)
圧雪の坂は別次元
勾配20%の圧雪坂では、スタッドレスでも坂の途中で止まると再発進できませんでした。峠道や坂の多い住宅地は、どのタイヤでも慎重さが要る場所です。オールシーズンなら、雪の日は坂のある道を避ける計画を立てておくと安心です。
凍結路は夏タイヤ並み、氷に強い新世代は別枠
氷の上になると、オールシーズンの強みはほとんど消えます。同じテストの氷盤路(時速40kmから急ブレーキ)の結果です。
| タイヤ | 氷盤路の制動距離 | スタッドレスとの差 |
|---|---|---|
| スタッドレス | 78.5m | ― |
| オールシーズン | 101.1m | +22.6m |
| 夏タイヤ(ノーマル) | 105.4m | +26.9m |
オールシーズンと夏タイヤの差は、わずか4.3mでした。氷に対してはほぼ夏タイヤ並みと考えておくのが現実的です。
調べていて驚いたのは、スタッドレスでも78.5mかかっている点です。氷盤路で一番短く止まれたのは、タイヤチェーンを付けた車でした。氷の上では、どのタイヤでも「止まれる」とは言い切れないんですね。
JAF Mateの事故鑑定の解説では、時速30〜40kmで走る場合、凍結路面は通常の路面の7〜8倍滑りやすいとされています。圧雪路面でも3〜4倍です。凍った路面では、タイヤの種類より先に、速度を落として車間を大きくとることが前提になります。
ただし、この「氷は夏タイヤ並み」は従来型のオールシーズンの話です。ダンロップが2024年10月に発売した「シンクロウェザー」は、氷上性能をうたう新しいタイプで、位置づけが違います。
水と温度でゴムの性質が変わる技術を採用し、欧州のアイスグリップシンボルも取得しています。国際的な氷上性能試験の合格マークです。メーカーは、自社の1世代前のスタッドレス「WINTER MAXX 02」と同等の氷上ブレーキ性能と説明しています。(出典:住友ゴム工業『次世代オールシーズンタイヤ新発売』ニュースリリース)
とはいえ、最新のスタッドレス(WINTER MAXX 03など)と同等とまでは、メーカーも言っていません。第三者の比較データも見当たらないので、凍結路が日常ならスタッドレスが基本、という考えは変わらないかなと思います。
価格は、195/65R15の通販掲載価格で1本23,210円(2026年9月25日時点)です。同じサイズのオールシーズンの中では高めでした。「1セットで冬を越したいけれど、朝の凍結も心配」という方の候補になりそうです。
ダンロップ シンクロウェザー
氷上性能をうたう新世代のオールシーズンタイヤ。1セットで冬を越したいけれど、凍結路も心配な人の候補に
価格目安:1本23,210円(195/65R15・通販掲載価格・2026年9月25日時点)
スノーフレークマークなら冬用タイヤ規制は通れる
オールシーズンタイヤでも、スノーフレークマーク付きなら高速道路の冬用タイヤ規制は通行できます。ただし、大雪のときの「チェーン規制」は別物です。こちらはオールシーズンでもスタッドレスでも、チェーンを付けないと通れません。

規制の名前が似ていて、ややこしいですよね。まずは場面ごとの扱いを表で整理しておきます。
| 場面 | スノーフレークマーク付きオールシーズン | M+Sのみのオールシーズン | スタッドレス | 夏タイヤ |
|---|---|---|---|---|
| 一般道の積雪・凍結路 | 冬用タイヤとして扱われる | 都道府県の規定の解釈次第 | 走行可 | チェーンなどの滑り止めなしは違反(反則金の対象) |
| 高速道路の冬用タイヤ規制 | 通行可(4輪すべてに装着) | 認められない場合がある | 通行可 | チェーン装着で通行可 |
| チェーン規制 | チェーン必須 | チェーン必須 | チェーン必須 | チェーン必須 |
冬用タイヤ規制を通れることと、その路面を安全に走れることは別の話です。
高速道路の規制はM+Sだけだと通れない場合も
オールシーズンなら、どれでも冬用タイヤ規制を通れるわけではありません。見るべきはタイヤ側面の刻印で、「M+S」の表示だけでは足りない場合があります。
| マーク | 意味 | 冬用タイヤ規制での扱い |
|---|---|---|
| M+S(Mud + Snow) | 泥道・雪道にある程度対応できるとメーカーが自主的に付ける表示。統一された性能試験は経ていない | 冬用タイヤとして扱われない場合がある |
| スノーフレークマーク(3PMSF) | 山と雪の結晶の図。雪上性能の試験に合格したタイヤに付く | 冬用タイヤとして認められる |
同じ「オールシーズン」でも、M+Sだけの製品とスノーフレークマーク付きの製品があります。買う前と装着後に、側面の刻印を自分の目で確かめるのが確実です。
NEXCO西日本は、冬用タイヤ規制のときはスノーフレークマーク付きを全車輪に装着するよう案内しています。一部の車輪だけに付けた状態では認められません。
NEXCO中日本も、M+S表示のオールシーズンは冬用タイヤより制動性能が劣ると注意しています。降雪状況によっては走れない場合があり、出発地が晴れていてもチェーンを携行するよう呼びかけています。
一般道にもルールがあります。積雪・凍結路での滑り止めの義務は、沖縄県を除く各都道府県の規則で定められています。夏タイヤのままチェーンなどの滑り止めを付けずに走ると反則金の対象で、普通車は6,000円です。
M+Sだけのタイヤがどう扱われるかは、県ごとの規定の書き方次第です。心配な方は、走る地域の都道府県警察の案内を確認しておくと安心ですよ。
チェーン規制ではオールシーズンもチェーン必須
チェーン規制は、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が出るような、異例の降雪のときだけ実施されます。本来なら通行止めにする状況で、チェーンを付けた車だけを通すという位置づけです。
国土交通省は、スタッドレスを履いていてもチェーンなしの車は通れないと明記しています。4WDでも大型車でも扱いは同じで、オールシーズンも当然チェーンが必要です。ヨコハマやダンロップも、チェーン規制時はチェーンが必要だと製品ページで案内しています。(出典:国土交通省『道路:雪防災(チェーン規制)』)
4WDも対象になる理由として、国交省は「車重が大きく、下り坂で急ブレーキをかけたときの停止距離が長くなる」点を挙げています。登る力が強い車ほど、止まる側の弱さを見落としやすいのかもしれませんね。
規制区間は、峠など過去に立ち往生や通行止めが起きた場所に絞られています。国交省の一覧では、直轄国道6区間・高速道路7区間の計13区間です(2026年9月25日確認)。
たとえば中央道の須玉IC〜長坂IC、上信越道の信濃町IC〜新井PA(上り線)、北陸道の木之本IC〜今庄ICなどが含まれます。冬のレジャーや帰省で通りそうな区間もあるので、行き先がある方は一度確認しておくといいですね。
使うチェーンの種類に指定はなく、市販のタイヤチェーンなら使えます。ただしスプレー式の滑り止めは認められません。規制中にチェーンなしで通行すると、道路法違反として6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。
オールシーズンでも積んでおく物
タイヤサイズに合うタイヤチェーン(または布製のタイヤカバー)を積んでおくと安心です。装着は本線上ではなく、SA・PAやチェーン着脱場で行います。付けるのは駆動輪が基本で、FF車は前輪、FR車は後輪。4WDは取扱説明書で確認してください。
住む地域×通勤・レジャー・帰省で自分を判定
オールシーズンタイヤで足りるかは、「住む地域の雪と凍結の頻度」×「使い方」で決まります。雪が年に数日の地域で、雪の日を避けて乗れる人ほど向いています。反対に、凍る日が多い地域や雪国へ出かける人ほど、スタッドレスが必要です。

地域と使い方の組み合わせかぁ。ボクの場合はどっちになるんだろう?
同じ街に住んでいても、毎朝の通勤で乗るのか、週末だけなのかで答えが変わるみたいですよ。表で自分の欄を探してみましょう。
気象庁の平年値(1991〜2020年)とメーカー各社の案内をもとに、私なりの判定の目安をまとめました。平年値は市街地の観測点の値なので、住まいが高台や山沿いの方は一段厳しめに見てください。
| 住む地域(代表地点) | 毎日の通勤 | 週末・日中の街乗り | スキー場通い | 雪国への帰省 |
|---|---|---|---|---|
| 太平洋側の温暖な都市(東京・名古屋・大阪・福岡など) | △ 大雪の翌朝の凍結に注意 | ◯ 最も向いている | × スタッドレス | × 自分の車ならスタッドレス |
| 雪は少ないが凍る内陸(宇都宮・甲府・前橋・岐阜など) | × 朝の凍結が多い | △ 日中中心なら可 | × スタッドレス | × スタッドレス |
| 積雪がある地方都市・日本海側(仙台・新潟・金沢など) | × スタッドレス | × スタッドレス | × スタッドレス | × スタッドレス |
| 寒冷・豪雪地(札幌・青森・盛岡・長野など) | × スタッドレス | × スタッドレス | × スタッドレス | × スタッドレス |
◯はオールシーズンで足りる、△は条件付きで可、×はスタッドレスを選びたい、という目安です。雪の日は乗らない・公共交通に切り替えられる人は、同じ地域でも条件が一段よくなります。家に車が複数台あり、雪の日はスタッドレスの車を使える場合も同じです。
雪が年数日の太平洋側の街乗りは向いている
東京・横浜・名古屋・大阪・福岡・広島といった太平洋側の都市は、積雪1cm以上の日が年0.7〜3.5日しかありません。雪が積もる日がほとんど無いので、年に数回の雪に備える保険として、オールシーズンが最も合う地域です。
週末や日中の買い物で乗る程度なら、雪の日は出かけないという選択もできますよね。履き替えの手間や保管場所が要らない利点を、一番素直に受け取れる使い方かなと思います。
注意したいのは、数年に一度のドカ雪です。東京でも積雪10cm以上の日は平年0.5日、つまり2年に1回程度あります。大雪の翌朝は圧雪や凍結が残るので、オールシーズンでもスタッドレスでも慎重な運転が前提です。
もう一つの落とし穴は、雪より先に氷が来ることです。東京の平年値では、初霜が12月23日、初氷が12月24日で、初雪の1月3日より10日ほど早くなっています。「雪が降っていないから大丈夫」とは限らないんですね。
通勤で毎日乗る方は、大雪の翌朝は車を使わない、出発を遅らせるといった逃げ道を決めておくと安心です。逃げ道を作れないなら、このあと紹介する「朝に凍る地域」と同じ考え方で判断してください。
スキー場通い・雪国への帰省はスタッドレス一択
自分の車でスキー場へ通う、雪国へ帰省するなら、住んでいる地域に関係なくスタッドレス一択です。出発地が晴れていても、行き先の条件は寒冷地や豪雪地と同じになります。
スキー場への道は、圧雪の坂・早朝の出発・夜の帰り道が重なります。先ほどのJAFテストで、オールシーズンは勾配12%の圧雪坂を、坂の途中からの発進では登れませんでした。坂の途中で動けなくなれば、自分だけでなく後続の車も巻き込んでしまいます。
帰省先の雪国は、たとえば札幌で積雪1cm以上の日が年127.9日、新潟でも38.5日あります。地元の人がスタッドレスで走る道を、氷に弱いタイヤで走ることになるわけです。
高速道路の冬用タイヤ規制はスノーフレークマーク付きなら通れますが、大雪でチェーン規制が出ればチェーンが必要です。年1回の帰省のためにスタッドレスを買うのは重い、という方もいますよね。その場合は、スタッドレス付きのレンタカーやカーシェアを、雪国行きのときだけ使う方法もあります。
朝に凍る地域は迷ったら安全側のスタッドレスへ
判断が一番難しいのは、雪は少ないのに凍る日が多い内陸の地域です。ここは迷ったら安全側のスタッドレスを選ぶのが、私のおすすめです。
積雪の日数だけを見ると、宇都宮や前橋は東京とそれほど変わりません。ところが、冬日(最低気温が0℃未満の日)の数は大きく違います。
| 地点 | 積雪1cm以上の日(年) | 冬日(年) |
|---|---|---|
| 東京 | 2.8日 | 15.2日 |
| 岐阜 | 8.5日 | 29.1日 |
| 前橋 | 5.7日 | 46.2日 |
| 甲府 | 6.6日 | 64.1日 |
| 宇都宮 | 6.5日 | 72.9日 |
宇都宮は雪の日が年6.5日なのに、冬日は年72.9日と東京の約5倍です。オールシーズンの弱点である氷に、冬のあいだ何度も出会う地域といえます。
内陸や盆地では、日中でも気温が上がらない日があります。長野では2026年1月20日、正午でも0.1℃しかなく、13時には氷点下まで下がりました。「昼なら解けている」という前提が通じない日もあるわけです。
凍りやすい時間帯が通勤と重なる点も見逃せません。気温が一番下がるのは、冬なら日の出前後の6〜7時台です。北海道警察の統計でも、スリップが要因の負傷事故は7〜9時台と17時台に多く、約6割が追突でした。
橋の上・トンネルの出入口・日陰は、周りが乾いていても凍っていることがあります(ブラックアイスバーン)。ブリヂストンは、スタッドレスへの履き替えの目安を「最低気温3℃以下」としています。雪が降らない地域でも、路面が氷点下になって凍ることがあるからです。
毎朝この条件で通勤するなら、止まれるかを毎回心配しながら走るのはつらいですよね。スタッドレスでも氷の上は油断できませんが、オールシーズンより止まれる余地は大きくなります。
オールシーズンタイヤで後悔する点と寿命の目安
後悔の多くは、オールシーズンを「スタッドレスと夏タイヤのいいとこ取り」と思い込むことから始まります。実際は、冬は氷に弱く、夏は夏タイヤに少し劣り、1年中履くぶん減りも早いタイヤです。この3点を知ったうえで選べば、後悔の多くは防げます。
よくある後悔のパターンと、その防ぎ方をまとめました。
| よくある後悔 | 原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 高速道路の冬用タイヤ規制で通れなかった | M+Sのみの製品だった | スノーフレークマーク付きを選ぶ |
| 朝の橋や日陰で止まれずヒヤリとした | 氷の上はほぼ夏タイヤ並み | 凍りそうな朝は乗らない・速度を落とす |
| スキー場や峠の圧雪坂で登れなくなった | 勾配12%の圧雪坂でも、坂の途中からの発進では登れない | 雪山へ行くならスタッドレスかチェーン |
| 溝が半分を切ったまま冬を迎えた | 冬用の限界に気付かなかった | 毎年冬の前にプラットホームを確認 |
| 夏の静かさや燃費が落ちたと感じた | 夏タイヤより劣る場合がある | 夏の性能を重視するなら2セット運用 |
| 想定より早く買い替えが来た | 1年中履くので減りが早い | 年間走行距離から寿命を見積もる |
夏の燃費・静粛性・乾いた路面は夏タイヤに劣る
オールシーズンは雪にも対応するぶん、夏の性能は夏タイヤに一歩ゆずります。トヨタのディーラー(トヨタモビリティ東京)も、燃費やドライ・ウェット性能は夏タイヤより劣る場合があると説明しています。
グッドイヤー公式の路面別の比較を見ると、その位置づけがよくわかります。
| 路面 | スタッドレス | オールシーズン | 夏タイヤ |
|---|---|---|---|
| 積雪路 | ◎ | ◯ | × |
| シャーベット | ◎ | ◯ | × |
| 凍結路(アイスバーン) | ◎ | △ | × |
| ドライ(乾いた路面) | △ | ◯ | ◎ |
| ウェット(濡れた路面) | △ | ◯ | ◎ |
オールシーズンは、ほとんどの路面で◯の「2番手」で、1位はとらないタイヤです。静かさや燃費、乾いた道での走りを重視する方ほど、夏に物足りなさを感じやすいかなと思います。
なお、シンクロウェザーはサマータイヤ同等のウェット性能・静粛性・耐摩耗性をうたっています。夏の性能も気になる方は、こうした新しい製品の説明も比べてみるといいですね。
1年中減るので冬用の寿命は溝50%・約4年
オールシーズンを冬用タイヤとして使えるのは、溝が新品時の50%まですり減るまでです。この時点で溝の中の段差「プラットホーム」が表面に出て、冬用タイヤ規制では冬用として扱われなくなります。
ダンロップは、シンクロウェザーの寿命を試算しています(カローラツーリング・195/65R15・月1,000km走行の想定)。その結果、約5万km・約4年でプラットホームが露出するとしています。
この「約4年」は、月1,000km走る人の場合の目安です。1年中同じタイヤで走るので、夏冬の2セットを使い分けるより1セットの減りは早くなります。年間の走行距離が多い人ほど、冬用として使える期間は短くなると考えてください。
プラットホームが出たあとも、残り溝1.6mm(スリップサイン)までは夏タイヤとして使えます。ただ、冬の備えとしては役目を終えているので、雪の季節の前が買い替えを考えるタイミングです。
確認は、タイヤ側面の矢印(↑)マークの延長線上にある溝を見ます。矢印は円周上に4か所あり、1か所でも段差が表面と同じ高さなら限界です。外見はほとんど変わらないので、毎年冬の前に4本ともチェックしましょう。
海外メーカーの冬用タイヤには、プラットホームが無いものもあります。その場合は、お店で溝の深さを測ってもらうと確実です。
溝とは別に、ゴムは年数でも硬くなります。製造時期はタイヤ側面の「DOT」から始まる刻印の末尾4桁で分かり、「3624」なら2024年の第36週です。タイヤ店の解説では、使用開始から約5年・3万km超が性能低下を意識する目安とされています。ただしメーカー公式の基準ではないので、気になったらお店で点検してもらうと安心です。
スタッドレスが要る人の買い方と2セットの費用
スタッドレスが要る人は、ホイール付きのセットで買うと、毎年の履き替え費用と手間を抑えられます。初期費用はオールシーズン1セットより高くなります。それでも、2セットを交互に使うぶん、1セットあたりの減りは分散します。

費用の差は、タイヤ本体の値段よりも「ホイール」「履き替え」「保管」から生まれます。1セット運用と2セット運用を比べると、こうなります。
| 費用項目 | オールシーズン1セット | 夏タイヤ+スタッドレスの2セット |
|---|---|---|
| タイヤ本体 | 4本 | 4本×2セット(摩耗は各セットに分散) |
| スタッドレス用ホイール | 不要 | 毎回の組み替え工賃を避けるなら必要 |
| 年2回の履き替え工賃 | 不要 | 毎シーズン発生 |
| 保管 | 不要 | 自宅か保管サービス(店舗例:月額2,750円・1台分) |
| 冬用として使える期間 | 溝50%まで(1年中減る) | 冬だけ減るが、ゴムの硬化で3〜5年が実務の目安 |
| 初期費用の試算(17インチ) | 約10万円 | 12〜15万円+年0〜3万円(履き替え・保管) |
最後の行は、自動車メディアのベストカーによる一般的な乗用車での試算です。総額の差は、年間の走行距離や保管場所、ホイールの有無で変わります。
意外だったのは、タイヤ本体の値段です。195/65R15の同じ通販サイトの掲載価格(2026年9月25日時点)で比べてみました。オールシーズンは1本8,580〜23,210円、スタッドレスは1本8,580〜25,410円です。価格帯はほぼ重なっていて、「オールシーズンのほうが本体が安い」わけではないんですね。
買う場所は、タイヤ専門店・カー用品店の店頭、ディーラー、通販(取付店への直送・交換予約つき)が主な選択肢です。通販は本体が安い反面、取付工賃や廃タイヤの処分料が別になるのが一般的なので、総額で比べるのがコツです。
通販の取付予約サービスは、工賃に含まれる作業がサービスごとに違います。タイヤ単品を買ったときの15インチの工賃(1本あたり・2026年9月時点)を並べると、次のとおりです。
| サービス | 取付工賃(15インチ・1本) | 工賃のほかにかかる主な費用 |
|---|---|---|
| TIREHOOD | 2,640円(オートバックス以外の店) | 原則なし(廃タイヤ処分・ゴムバルブ交換込み) |
| オートウェイ(タイヤピット) | 2,090円 | 廃タイヤ料・バルブ交換料(取付店で支払い) |
| 楽天Carタイヤ購入&交換 | 2,310円(12〜16インチ) | 廃タイヤ引き取り料・ゴムバルブ代と交換工賃 |
表の金額だけならオートウェイが一番安いものの、廃タイヤ料などを足すと差は縮まります。工賃の安さより「取付店で追加で何を払うか」まで見ておくと、当日に慌てずに済みますよ。
ホイール付きセットで買えば、取付は脱着だけで済みます。工賃は1本1,100円(オートウェイ・普通車20インチまで・統一料金表示のある加盟店のみ)〜1,320円(TIREHOOD)ほどです。翌シーズンからの履き替えも脱着で済むので、2年目以降の出費を抑えやすくなります。
TIREHOOD(タイヤフッド)
購入時に取付店と日時の予約まで確定し、廃タイヤ処分も工賃に含まれるタイヤ通販。取付店は全国4,300店以上から選べる
履き替えの時期は、ブリヂストンが目安にする「最低気温3℃以下」「初雪予想の1か月前」が基準です。北海道は10月中に初雪が来るので、逆算すると9月中〜下旬には準備が要ります。
新品のスタッドレスは、時速60km以下で200km以上の慣らし走行をしてから本来のグリップが出ます(ブリヂストン公式)。雪が降った日に新品を履いてそのまま雪道へ、は避けたいところです。
「スタッドレスを買うほどではないけれど不安」という方もいますよね。その場合は、オールシーズンにタイヤチェーンや布製カバーを積んでおく方法もあります。JAFのテストでも、氷盤路で一番短く止まれたのはチェーン装着車でした。
最終判断は公式情報とプロに
ここで紹介した数値や料金は、あくまで一般的な目安です。規制や製品の最新情報は、タイヤメーカー・NEXCO・国土交通省の公式サイトでご確認ください。自分の車や地域に合うか迷うときは、タイヤ専門店や整備工場に相談してから決めると安心です。
オールシーズンタイヤの雪道に関するよくある質問
4WDならオールシーズンタイヤでも雪道は大丈夫ですか?
4WDは発進や登り坂では有利ですが、ブレーキで止まる力まで強くなるわけではありません。国土交通省も、4WDは車重が大きく下り坂での停止距離が長くなるとして、チェーン規制の対象にしています。私が今乗っているCX-5のようなSUVでも考え方は同じで、4WDだから凍結路をオールシーズンで走ってよい、とはならないかなと思います。
冬はオールシーズンタイヤの空気圧を調整したほうがいいですか?
調整というより、こまめな点検がおすすめです。タイヤの空気圧は、気温が10℃変わると約10kPa変動するのが目安です。秋から冬にかけては、空気を抜いていなくても自然に低くなります。点検はタイヤが冷えている状態で行い、車両指定の空気圧に合わせましょう。日本自動車タイヤ協会(JATMA)は月1回の点検をすすめています。
溝が半分以下になったオールシーズンタイヤは車検に通りますか?
車検の基準になるのは残り溝1.6mm(スリップサイン)です。プラットホームが出ていても、主溝が1.6mm以上残っていれば保安基準は満たします。ただし冬用タイヤとしては使えなくなり、高速道路の冬用タイヤ規制では冬用と扱われません。車検に通ることと、冬に安全に走れることは別と考えてください。
雪の日にオールシーズンタイヤで出かける前に、やっておくことは?
まずは道路情報で、行き先に冬用タイヤ規制やチェーン規制が出ていないかを確認しましょう。出発前には、屋根・ボンネット・ガラス・ライト・ナンバープレートの雪と氷を落としておきます。屋根に雪を載せたまま走ると、落雪の危険から道路交通法の遵守事項違反に問われることがあります(長野県などの例)。凍っていそうな朝は、無理に出かけない判断も立派な安全策ですよ。
手持ちのスタッドレスが古いのですが、オールシーズンに替えるべきですか?
先にスタッドレスの寿命を確かめ、そのうえで住む地域と使い方で選び直すのがおすすめです。寿命は、溝(プラットホームが出ていないか)・製造年(DOTコードの末尾4桁)・ゴムの硬さの3点で見ます。日本自動車タイヤ協会(JATMA)は、使用開始から5年で点検、製造から10年で交換を目安にしています。まだ使える状態なら残りのシーズンを使い、買い替えのときに地域×用途の判定表で選び直すと無駄がありません。
まとめ:オールシーズンタイヤの雪道は浅雪までが目安
浅雪なら頼れるけど、氷と圧雪の坂は苦手なんだね。
そうなんです。住んでいる地域と使い方で答えが変わるので、判定表で自分の欄を確かめてみてくださいね。
オールシーズンタイヤは、雪が年に数日の地域で、雪の日を避けて乗れる人にとって心強い選択肢です。一方で、氷の上ではほぼ夏タイヤ並みという弱点を知らずに選ぶと、朝の凍結路でヒヤリとしかねません。

- 浅雪・シャーベットは走れるが、圧雪の坂と凍結路は危ない側
- 制動距離は圧雪でスタッドレスの約1.3倍、氷の上では夏タイヤとほぼ同じ
- 冬用タイヤ規制はスノーフレークマーク付きなら通れるが、チェーン規制はチェーン必須
- 太平洋側の街乗りは向いている。スキー場・雪国への帰省・朝に凍る地域はスタッドレス
- 冬用の寿命は溝50%まで。月1,000km走行なら約4年が目安
数値はあくまで一般的な目安で、タイヤの状態や路面、運転のしかたで変わります。正確な情報は、各タイヤメーカーやNEXCO・国土交通省の公式サイトでご確認ください。
雪道で危ないと感じたら無理に走らず、ロードサービスや整備工場を頼る前提で計画しておくと安心です。迷うときは、タイヤ専門店に相談してから決めてくださいね。
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