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車の査定額の決まり方|基準価格と加減点、業者で差が出る理由

車の査定額が基準価格・加減点・業者調整の3層で決まる仕組みを示すイラスト

こんにちは。asovica(アソビカ)、運営者の「りょう」です。

愛車の査定額がどうやって決まるのか、気になって調べていませんか。年式や走行距離が効くのは、なんとなく分かる。でも同じ車なのにお店ごとに金額が違う理由までは、なかなか説明されませんよね。

この記事では、査定額が相場・加減点・各社の調整という3つの層で決まる仕組みを、公的な基準と決算資料をたどって整理しました。読み終えるころには、提示された金額が妥当かどうかを自分で判断する物差しが手に入るはずです。

  • 査定額が相場・加減点・各社調整の3層で決まる仕組み
  • 年式・走行距離・修復歴・色が効く「単位」の違い
  • 同じ車でも業者ごとに金額が変わる構造的な理由
  • 自分で概算を出して提示額の妥当性を確かめる手順

査定額は基準価格から3層で決まる

査定額は、ひとつの計算式から出てくる金額ではありません。オークションの卸相場でできた基準価格に、車の状態で加減点を乗せ、最後に各社が自社の利益計画で調整する。この3つの層が順に重なった結果が、目の前の提示額です。

査定額が卸相場の基準価格・JAAI統一基準の加減点・各社の利益調整という3つの層が積み重なって決まる仕組みを示した図
BUDDY
BUDDY

え、じゃあ「年式と走行距離で決まる」っていうのは違うの?

間違いではないんですけど、それは真ん中の層の話だけなんですよね。層に分けると、動かせるものと動かせないものがはっきりしますよ。

りょう
りょう
BUDDY
BUDDY

なるほどね。じゃあ順番に見ていこうよ。

査定額の計算の仕組みを式で書くと「基本価格 ±(加点合計 − 減点合計)× 点単価」になります。一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)の統一基準が、この加減点の部分を担っています。ただ、この式だけでは同じ車に別々の金額が付く理由を説明できません。

何が決まるか決める主体売り手が動かせるか
第1層 相場その車種・年式・グレードの卸値の水準業者オークション市場動かせない(売る時期は選べる)
第2層 加減点実車の状態による上下査定士(JAAI統一基準)減点を防ぐ方向には動かせる
第3層 各社調整いくらで仕入れるかの経営判断買取店・ディーラー各社どの社に売るかを選べる

第1層が卸相場だという根拠は、制度の側にあります。査定約款の第3条は、基準になる価格を「中古車の通常の取引価格の平均値」と定めています。協会自身も、小売価格と卸売価格を別々の冊子として毎月発行しているんですよ。

第2層が全国共通であることも制度から読み取れます。査定業務実施店は全国で約7,800社、登録査定士は約13.5万人。しかも査定士の役割は、下取りと買取で分かれていません。(出典:一般財団法人日本自動車査定協会『査定とは?』

ただしこれは、制度に賛同して査定を行う店(査定業務実施店)どうしの話です。その前提なら同じ車をよそのお店に持ち込んでも、第2層の点数はほぼ同じに出るはず。金額が違うなら、差は第1層か第3層で生まれています。

提示額の差がどこから来ているかは、3つの層のどこの話かを切り分けると見えてきます。

第3層があることは、基準そのものが認めています。基本価格は査定業務実施店の各社ごとに設定され、県ごとの小売販売実績から各社の諸経費・粗利益・標準整備費などを差し引いて作られます。最初から「各社で違う数字が入る場所」が用意されているわけですね。

オートオークション相場とグレードが土台

土台になるのは、業者どうしが車を売買するオートオークションの卸相場です。卸に回す車なら、買取店が出せる金額の上限はこの卸相場から陸送費・整備費・自社の利益を引いた残りになります(自社の店頭で売れる車は、あとで見るように店頭価格からの逆算です)。個人が受け取る額の背景には、必ずこの市場があります。

規模を数字で見ておくと感覚がつかみやすいと思います。最大手のUSSは2026年3月期の通期で、出品350万4,437台・成約率67.0%・成約車両単価125万5,000円でした。全国のオートオークション全体でも、2025年の総出品は801万3,936台・成約率68.6%です。

ここから読めるのは、プロが売ってプロが買う市場でも3台に1台前後はその回で売れ残るという事実です。オークション形式は「出せば必ず売れる」仕組みではありません。

もうひとつ、相場には季節の癖があります。USSの月別データを並べると、2月から3月にかけて4年連続で7〜12%下がっていました。年間で出品台数が最も多いのも3月です。

ただ、この動きを「3月は安く売れる月」と読むのは行きすぎかなと思います。平均単価は取引された車種の構成でも動くので、同じ車が安くなる証拠にはなりません。出品台数の実数で確かめられるのは、3〜4月はオークションへの出品が年間で最も多く、買い手が選べる状況になるということまでです。

「決算期は3月」は前提が崩れる

1〜3月は決算期だから買取が強化される、とよく言われます。ただ主要企業の事業年度末は、IDOM(ガリバー)が2月、ネクステージが11月、オートオークションのUSSが3月とばらばら。売る相手によって前提が変わるので、決算期だけを当てにしないほうが無難です。

グレードや一部の装備も、この第1層で効きます。サンルーフ・本革シート・4WDといったメーカーオプションは、公開されている加減点表に項目がありません。点数で加点されるのではなく、基本価格の設定そのものが変わると考えるほうが正確です。

車種・グレードの人気そのものも、買ったときにはもう決まっています。フルモデルチェンジの発表も、需要が新型へ移るぶん現行型の相場を下げる方向に働きます。ただし下落幅の一般値を示せるデータはなく、車種によっては横ばいのまま推移する例もあります。

つまり相場は、自分では動かせません。売る時期を選べるだけ、というのが第1層の性格ですね。ここを受け入れてしまうと、残りの2層に集中できます。

状態はJAAI基準で加減点される

第2層は、全国共通のものさしです。査定士はJAAIの統一基準にそって、標準状態を0点として項目ごとに加点・減点していきます。1点はおおむね1,000円が目安ですが、実額は車のクラスによって変わります。

年式や走行距離は率で、傷や装備は点数で、冠水や火災は基本価格の割合で、それぞれ違う単位で査定額に効くことを示した図

まず「標準状態」の定義を見ておきます。外装・内装は無傷、エンジンと足回りは走行に支障なく良好、車検の残りは3か月以内、走行キロは標準、タイヤの残り溝は1.6mm以上、修復歴や改造がないこと。ここが0点の基準線です。

面白いのは、車検の残りが3か月以内で「標準」という点ですよね。だから車検が長く残っていれば標準より上、つまり加点になります。逆に無傷が前提なので、傷は減点でしか扱われません。

そして同じ点数でも、金額は車格で変わります。公開されているクラス分け表には、車格ごとの「クラス係数」が明記されています。

クラス係数代表車種の例
特C2.2レクサスLS、センチュリー、GT-R
1.4クラウンシリーズ、フーガ、MIRAI
1.2カムリ、マークX、レガシィ、オデッセイ
Ⅲ(基準クラス)1.0プリウス、カローラ、CX-5、ヴェゼル
0.8ノート、フィット、シエンタ
0.8軽自動車全般

国産車の2026年4月版のクラス分け表から抜き出したものです。私は今CX-5に乗っていて、これまでにマークXやヴェゼルにも乗ってきました。当てはめるとCX-5とヴェゼルは係数1.0、マークXは1.2。同じ10点の減点でも1万円と1万2,000円で差がつく計算になります。

輸入車はもっと開きます。最下位クラスでも国産の基準クラスと同じ1.0から始まり、上は7.0まで。「40点減点だから一律4万円」という単純換算はできません

加点側で大きいのは車検残です。公式の加点表では、残24か月で基準クラスのⅡ・Ⅲが51点、軽が30点。残1〜3か月は全クラス0点で、加点が始まるのは残4か月からです。

自賠責の残りは、期待しすぎないほうがいいかなと思います。乗用車で残24か月でも11点。1点1,000円換算なら1万円強で、車検残とは桁が違うんですよね。

冠水や火災の履歴、メーター改ざんは点数ではなく「基本価格の何割」で引かれます。傷1か所とはまったく別の次元です。

商品価値減点と呼ばれる区分では、冠水車がフロアまでで50%以内、クッション上部以上なら70%以内といった率が決まっています。傷やへこみが数点から数十点の世界であることを考えると、けた違いの重さです。

年式と走行距離はどちらが効く

どちらが重いか、という問いの立て方が実はずれています。効く「単位」が違うというのが正確な答えです。年式は基本価格そのものを下げ、走行距離はその基本価格に率を掛けます。

年式は使用経過月数で見ます。初度登録年月の翌月から起算する月単位の計算で、基準に載る例では初度登録から3年7か月を43か月と数えていました。1か月経てば、その分だけ土台が下がります。

対して走行距離は、点数表に載っていません。計算方式が「基本価格 × 加減率」だからです。基準の計算例では、基本価格115万円に5%を掛けて57.5、四捨五入して58点としています。

この違いが効いてきます。同じ距離の超過でも、高い車ほど引かれる額が大きくなるという理屈ですね。土台が大きいほど、1kmの重みも増していきます。

なお基準側は、記録から現在の距離を割り出す推定式に「月1,000km」を置いています。年に直すと1万2,000km。ただしこれはあくまで推定用の係数で、加減率が切り替わる境目ではありません。何kmで何%かを示す適用表のほうは、公開されている文書には含まれていないんですよね。

一方で5万km・10万kmという節目は、市場側の理由で生まれています。中古車情報サイトの絞り込みがその刻みなので、またぐと買い手の目に触れにくくなるわけです。節目ごとの減額額を示す一次データは見当たらないので、金額の相場観としては受け取らないほうが安全です。

「1日でも新しいほうが高い」と言われるのも、この構造から来ています。JAAIの査定証は査定日から20日で経時減価が入る前提。待っている間に距離も伸びるので、迷う時間そのものがコストになります。

修復歴はいくら下がるのか

修復歴かどうかは、事故を起こしたかどうかでは決まりません。骨格7部位に手が入ったかどうかが判定基準です。下げ幅は1割から5割規模とされ、一律の金額は存在しません。

骨格はクロスメンバー、サイドメンバー、インサイドパネルとダッシュパネル、ピラー、ルーフ、センターフロアパネル、リヤフロアの7区分。しかも溶接で接合された部位だけが対象で、ネジ止めの部品は骨格に含まれません。

つまりドアやフェンダー、バンパーをぶつけて交換していても、それだけでは修復歴になりません。逆に自走できる程度の当たりでも、ピラーにスポット打ち直しがあれば修復歴です。小さな損傷はカードサイズ(8.5cm×5.4cm)未満なら対象外と細則で決められています。(出典:日本自動車査定協会『中古自動車査定基準』(2026年4月適用)

金額は幅で語るしかない領域ですね。修復歴なしと比べて20万〜50万円、それ以上下がることもあります。人気車や新しい年式ほどマイナスが大きく、古くて距離が伸びた車ほど影響率は相対的に縮みます。

オークション側では修復歴車に評価点R(会場によってはRA)が付き、卸相場が一段下がります。第1層の時点ですでに落ちているので、第2層の減点だけでは説明のつかない下がり方をするわけです。

申告は損ではなく防御

契約したあとに修復歴が見つかったとして、減額や解約を持ちかけられる相談は実際に寄せられています。国民生活センターは、査定のプロが算出した額で契約した以上、応じる必要はないとしています。ただし前提として、知っている事故歴・修復歴は査定時に申告しておくこと。申告済みなら、同じ理由での減額は断れます。(出典:国民生活センター『中古車の売却(買取)に関する消費者トラブル』

色の加点は固定額ではない

「白なら◯万円プラス」という固定額は、査定基準のどこにもありません。ボディカラー加減点という項目は実在するのに、点数は毎月更新の価格ガイドブック側に委ねられているからです。

条文には「加減点点数等細部については、価格ガイドブックを参照」とだけ書かれています。ガイドブックは毎月更新される有償の刊行物。つまり色の評価は固定額ではなく、その時々の市場に連動する可変値なんですよね。

代わりに手がかりになるのが、実際に走っている車の色の分布です。自動車検査登録情報協会がまとめた、2025年3月末時点の乗用車の構成比を見てみます。(出典:自動車検査登録情報協会『乗用車の塗色別保有台数』(令和7年3月末現在)

塗色乗用車計の構成比10年前からの台数比
48.95%101.29
17.36%124.26
灰(シルバー)16.31%69.10
6.43%100.75
4.76%115.61

白・黒・灰の3色で82.62%を占めます。普通乗用車にかぎれば、白と黒だけで72.97%。次の買い手の母数が違うという説明は、この数字で裏づけられます。

見逃せないのが10年の変化です。灰は台数が3割減り、黒は24%増えました。「シルバーが無難」という感覚は10年前のシェアに基づくもので、いまは黒に抜かれています。

ただしこの統計が示すのは保有構成であって、色ごとの取引価格ではありません。何万円の差になるかまでは、ここからは出せないんですよね。

業者で査定額が違う本当の理由

業者差は、担当者の気分やその日の機嫌から出るものではありません。各社の販路・在庫・利益計画という構造から出ています。第2層のものさしが全国共通である以上、金額の差はほぼ第3層で生まれます。

自社店頭・業者オークション・海外輸出という出口の違いが業者ごとの査定額の差を生む構造を示した図
BUDDY
BUDDY

同じ基準で点数をつけてるのに、どうして金額が変わっちゃうの?

点数のあとに、その会社が「いくらで仕入れるか」を決める工程があるみたいですよ。そこだけは統一されていないんですよね。

りょう
りょう
BUDDY
BUDDY

その工程、ちょっと覗いてみたいな。

決め手になるのは出口の数です。買い取った車には、自社の店頭で売る・業者オークションに流す・海外へ輸出するという行き先があります。どれを持っているかで、同じ車でも値付けの起点が変わります。

大手の実績を見ると流れがはっきりします。IDOM(ガリバー)の2026年2月期は、直営店販売31万5,916台のうち卸売が15万1,985台。販売台数のおよそ48%が業者間市場へ回っています

自社で小売できる車なら、店頭価格から逆算して値付けできます。卸に回す車は、卸相場からの逆算になります。出発点そのものが違うわけですね。

輸出という出口もあります。2025年の中古車輸出は170万8,604台で、3年連続の過去最高でした。国内で商品になりにくい低年式車や過走行車にも値が付くのは、この出口があるからです。

だから「10万kmを超えたから価値ゼロ」とはかぎりません。ただし輸出相場は為替や仕向け国の規制に左右されるので、いつでも高いと期待するのも違うかなと思います。

粗利と在庫から引かれる幅

第3層で引かれる幅は、上場企業の決算資料からある程度読めます。IDOMの小売1台あたりの粗利は45万円。そのうち車両の売買差益は半分だけです。

構成比率中身
車両50%仕入から売上までの売買差益(原価に陸送費・点検整備費を含む)
付帯25%コーティング・保証・メンテナンスパックなどの付帯商品
金融商品25%保険会社からの代理店手数料、信販会社からのリベート

車両で取っている差益は、45万円の半分でおよそ22万円。しかもこの22万円は、仕入れに陸送費と点検整備費を加えた原価を差し引いたあとの数字です。残りの半分は、付帯商品と金融商品で取っている構造ですね。

会社全体で見ると、もっと薄く見えてきます。連結の粗利率17.1%に対して販管費が13.5%、営業利益として残るのは3.6%。抜いた粗利の大半は、店舗と人件費と広告費で消えているわけです。

在庫のリスクも値付けに効きます。単体の在庫回転日数は89.5日で、買い取ってから売れるまでおよそ3か月。その間ずっと資金が寝ますし、相場が急に下がれば含み損になります。

提示額に余裕を持たせる理由は、この3か月のリスクにあります。買い叩こうとしているというより、在庫を抱える商売の構造だと理解したほうが読み解きやすいかなと思います。

では買取価格は販売価格の何割になるのか。これは一次データが存在しない領域です。中古車メディアが共通して挙げるのは6〜9割・平均すると7割程度という目安で、販売価格を1.2で割った額を上限の目安にする説明もあります。

この6〜9割・÷1.2はいずれも二次情報の目安です。断定的な計算根拠にはせず、おおよその物差しとして使ってください。

下取りと買取は定義から違う

下取りが安く出やすいのは、再販ルートの問題だけではありません。納車までの相場変動を先に差し引いてから提示する計算方法が、下取り価格の定義に組み込まれているからです。

トヨタ系の買取ブランドの公式説明では、買取り価格は「今すぐクルマを売却してもらえる場合の価格」。対して下取り価格は「次のクルマの納車まで乗ってもらうため、実際に手放す時点までの相場変動を加味して算出した価格」とされています。

裏を返せば、下取り額は納車まで据え置く運用が一般的です。乗り続けられて手続きも1つの窓口で完結する、という利点と表裏なんですよね。ただし引き渡しのときに距離が大きく伸びていたり、新たな傷や未申告の修復歴が見つかったりすれば、再査定を持ちかけられることはあります。

区分有効期間の目安
買取店の提示額当日〜10日程度・平均すると1週間前後
JAAIの査定証査定日から20日で経時減価が入る
ディーラーの下取り額納車まで据え置く運用が一般的

他社と比べたいと言ったときに期限を切られるのは、卸相場が日々動くからです。それ自体は異常ではありません。

価格差を測った調査もあります。買取会社の査定額がディーラー下取りを平均17万7,693円上回ったという2015年の調査(有効回答672件)では、下取りのほうが高かったケースも4.6%ありました。

ただしこの種の調査は一括査定サービス側の自社調査で、「複数社の最高額」対「下取り1社」という非対称な比べ方です。自分の車で必ず出る差として読まないほうがいいと思います。

値引きと下取り額は分けて出す

下取りを伴う取引は、消費税では「販売」と「仕入れ」の別々の取引として扱われます(国税庁タックスアンサーNo.6305)。新車の消費税は下取り額を引く前の車両価格にかかるため、同じ金額を車両値引きで受けるか下取り増額で受けるかで支払総額が変わります。商談では内訳を分けて出してもらうのが確実です。

業者差を比べる手段は7通り

第3層は「選ぶ」ことしかできません。だから複数の値付けを並べる以外に、業者差を埋める方法はないことになります。手段は大きく7通りで、比較の効きやすさと引き受けるコストのトレードオフで並びます。

手段第3層の比較の効き方引き受けるコスト
1社だけに査定させる比較できない最少
ディーラー下取り1社。値引きと合算されると比較しにくい最少
買取店を自分で数社回る回った社数だけ第3層が見える立ち会い時間×社数
従来型の一括査定情報が渡った社数分申込直後の電話
事前査定・上位数社限定型入札の上位数社査定額が出るまでの待ち時間
1社窓口オークション型オークション参加業者の入札入金までの日数・手数料の有無
個人間フリマ型買い手は個人売れるまでの期間・手数料

どれが正解ということはありません。言える一般則はひとつだけで、競わせるほど高い側を拾えるが、そのぶん手間と連絡量が増えるという点です。

手間の見積もりは、意外と簡単に立てられます。出張査定は1社あたり30分から1時間程度が目安なので、「呼ぶ社数×1時間」で考えるとぶれません。

連絡量については実測もあります。一括査定の経験者481人への調査では、受けた営業電話が1〜4件の人が約65%、5〜9件が約25%、10件以上が約10%でした。

別の調査では、かかってきた本数が6〜10本という回答が49%を占めています。社数としては数社でも、再架電を含めた着信は膨らむわけですね。申し込んだ直後から鳴り始めるという報告も複数あります。

「電話が少ない」と言われるサービスも、減らし方の原理が違います。情報が渡る業者の数を絞る型、渡るタイミングを遅らせる型、運営1社しか連絡してこない型があり、同じ言葉でも中身は別物です。

夜9時から朝8時までの勧誘を禁じる基準はありますが、これは業界団体JPUCが会員に向けて定めた自主ルールで、法令ではありません。消費者が承諾している場合の例外もあります。

どの手段を選ぶかは、手間をどこまで引き受けられるか次第かなと思います。まず自分の許容範囲を決めてから型を選ぶほうが、あとで迷いません。

減点は申告と装備と書類で防げる

第2層で売り手が動かせるのは、主に落とさない方向です。書類のようにそろえれば加点になる項目もありますが、大半は減点を防ぐ側ですね。効くのは大きく3つ。事故歴の申告と、純正装備の扱いと、書類の有無です。

いちばん取り返しがつくのが書類です。保証書・整備手帳・取扱説明書の3点がそろっていれば、セットで10点の加点。逆に欠品の減点は、上位クラスの5年落ちまでで40点にもなります。

クラス保証書・整備手帳(当〜5年)同(6年〜)取扱説明書(全年)
特・Ⅰ・Ⅱ40点減点30点減点5点減点
Ⅲ・Ⅳ・軽20点減点10点減点5点減点

加点は10点なのに、欠品の減点は最大40点。4倍の非対称になっています。査定の前に一度、グローブボックスと自宅の書類入れを探す価値はありますよね。

装備は「基準に項目があるか」で決まります。純正ナビは当年式・1年落ちで60点、2・3年で40点、4・5年で30点、6年以降は20点。年式とともに価値が落ちる設計です。

ここで注意したいのが、後付け品と故障の扱いです。外付けタイプのナビは、そもそも評価の対象外。標準装備のナビが故障していると加点なしで10点の減点になり、地図ソフト用のメモリーカードがないとさらに10点引かれます。

オーディオ類にいたっては、加点そのものがありません。標準装備が故障で10点、欠品で20点、オプションのデッキを外した跡(穴埋め)で5点の減点です。

社外品に替えているなら、純正部品を捨てずに残しておく。査定の前に戻せるものは戻す。これが装備でできる現実的な対策です。

アルミホイールは、JWL・VIAマーク付きで4本そろっていれば加点対象になります。19インチ以上なら当年式・1年落ちで90点まで付きますが、15インチ以下は6年落ちで加点が0。小径ホイールの加点は年式で消えていきます。

そして清掃です。ここは私も気になって調べたのですが、洗車や掃除の有無を評価する項目は査定基準に存在しません掃除で減額を防ぐことはできても買取額は上げられない、というのが共通した結論でした。

とはいえ、防げる減点は小さくないんですよね。異臭・ペットの毛の付着・天井のヤニは、それぞれ40点。ほかの内装項目の4倍の重さで、しかも別々の項目として積み上がります。

喫煙車なら異臭とヤニで、ペットを乗せていた車なら異臭と毛の付着で、合計80点まで届く計算です。「異臭」の括弧には芳香剤も明記されているので、強い香りでごまかすのはむしろ逆効果ですね。

悪臭や腐食には、公式の減点表もあります。こちらは積載物などによる特殊損傷の区分で、悪臭・異物の付着・全体的な腐食がある車両が対象。上位クラスの当年式・1年落ちで120点、4年落ち以降で90点。軽なら70点から40点へ下がります。つまり新しい車ほど、そして上のクラスほど、汚した代償が大きい設計です。

内装のシミや破れも、張り替え判定に届くかどうかで桁が変わります。布のセパレートシートなら背もたれで35点、座面で25点。本革のリアシートは100点で、内装では最大級の減点です。

境目もはっきりしています。1cm未満のビス穴や焦げ跡、2個以内のほころびなら10点。1cm以上、あるいは3個以上になると交換・張り替えが必要と判断され、上の点数に跳ねます。

私は洗車のあと、エアダスターで隙間に残った水を飛ばすようにしています。放置すると涙のように汚れが流れて跡が残るからです。査定という観点でも、汚れで傷が見えにくいと安全側に厳しく評価されるのを防ぐところまでは意味があります。

逆に、費用を回収しにくいものもあります。傷やへこみの修理、消耗品の交換、車検を通してから売ること、高額なクリーニング。車検残24か月の加点は基準クラスで51点ですから、業者に頼む車検費用10万〜15万円には届きません。

自分の車の概算は自分で出せる

概算は、性格の違う3つの経路を重ねてレンジで出すのが実用的です。1本の方法では精度が出ません。3つが同じ帯に収まれば、そこが第1層と第3層の水準だと考えられます。

小売価格からの逆算・卸相場との比較・買取実績の3つの経路を重ねて自分の車の概算レンジを出す手順を示した図
経路何から出すか弱点
A 小売価格からの逆算同じ車種・年式・グレード・走行距離の販売価格を集め、その6〜9割(目安は7割、または÷1.2)掲載価格は売り希望値。整備や保証の内容で幅が出る
B 卸相場からの当たり業者オークションの成約単価の水準を基準に、自分の車が平均より上か下かで見当をつける平均は車種構成で動く。個々の車の相場ではない
C 買取実績・相場ページ買取店が公開する実績や匿名の相場ページで、年式と走行距離が近いものだけ拾う実車の状態が反映されない

匿名で使える相場ページなら、個人情報を入れずにレンジをつかめます。まずここで当たりをつけてから査定を受けると、金額の受け止め方が変わりますよ。

レンジが出たら、次は第2層の自己採点です。公式の加減点表のうち、自分で拾える項目だけを足し引きしていきます。

加点側で見るのは5つ。車検の残り月数、自賠責の残り月数、純正ナビの年式、アルミホイールのインチと年式、そして書類3点がそろっているかどうかです。

減点側は、傷やへこみの大きさと部位、臭い、内装のシミや破れ。標準装備の故障や欠品、社外品への交換跡も見ておきます。

やってはいけない自己採点がひとつ。走行距離を点数で見積もることです。走行キロは基本価格に率で効くので、点数表そのものが存在しません。

1点1,000円という換算も、あくまで基準クラスの目安です。軽や小型車は0.8倍、上位クラスは1.2倍から2.2倍まで動きます。自分の車のクラスを先に確認してから換算すると、ずれが小さくなります。

そして大前提として、相場は提示額の妥当性を測る物差しであって、その額で売れる保証ではありません。実車の状態は見てもらわないと分かりませんから、最後は現車を見せた金額で判断してくださいね。

安いのか買い叩きかを見分ける

査定額そのものの当否は、現車を見ないと誰にも決められません。だから金額の当てっこではなく、「概算レンジとのズレ」と「手続きの異常」の2軸で見るのが実務的です。

査定額が安いだけか買い叩きかを概算レンジとのズレと手続きの異常という2つの軸で見分けるチェック図

この2つを分けて考えると、「安い」と「おかしい」を混同せずに済みます。安いだけなら構造の差かもしれませんし、手続きが変なら金額と関係なく危険信号ですよね。

概算とのズレと別勘定の確認

まず見るのは、概算レンジから大きく下振れしていてその理由を項目で説明できるかどうかです。「相場が悪い」「うちでは売れない」だけで、加減点の項目名も点数も出てこないなら、確認する価値があります。

査定は所定様式の個別査定書(カーチェックシート)を使って1台ずつ行うのが、制度上の建て付けです。記入欄は車両図欄・重点項目チェック欄・内装シート欄・装備品欄・価格計算欄など11の区分に分かれています。

つまり、どの項目で何点引いたかは本来説明できるはずのもの。聞いてみて説明が返ってくるかどうかが、ひとつの判断材料になります。

もうひとつが、別勘定の確認です。査定約款の第7条は、評価額に燃料・保険料・リサイクル料・運送費・消費税などを含まないと定めています。

実際に支払われるのは、査定価格・自動車税未経過相当額・リサイクル預託金相当額の合計です。総額だけを比べると手取りを見誤りますので、見積書では内訳を分けて出してもらってください。

リサイクル預託金は、メーカーが定める3つの料金(シュレッダーダスト・エアバッグ類・フロン類)でおおむね6,000〜18,000円ほど。これに情報管理料金130円と資金管理料金が加わります。中古車として売れば次の所有者へ引き継がれるので、買取業者が査定額とは別に精算するのが一般的な商慣行です。

安い=買い叩きとはかぎらない

下取りが安いのは、納車までの値下がりを先に引くという定義そのものが理由かもしれません。提示額に期限が付くのも、卸相場が日々動くからです。金額の低さだけで決めつけず、理由が項目で説明されるかどうかで見分けてくださいね。

その場で決めなくて大丈夫

その場で決める必要は、基本的にありません。むしろ車の売買はクーリング・オフの対象外なので、契約前の確認がいちばん確実な防御になります。

意外に知られていないのが、出張査定の扱いです。特定商取引法には、事業者が自宅などで物品を買い取る「訪問購入」という類型があり、8日間のクーリング・オフなどの保護が付いています。

ところが自動車(二輪を除く)は、政令で訪問購入の適用除外物品に指定されています。自宅に来てもらって契約しても、この保護は働きません。しかも口頭の合意だけでも契約は成立します。

だからこそ、その場で即決を迫られたら一度持ち帰る。契約書を見せてもらう。キャンセル料の条項と金額の根拠を確認する。この3つを先にやっておくと安心です。

キャンセルの扱いは業者で差があります。JPUCのモデル約款や同等の約款を使う業者なら、車を引き渡した翌日までは負担なく解除できます。採用していない業者では、引き渡し後の解約は難しいと考えるのが実務的です。

違約金を請求されたときは、消費者契約法の第9条第1号が効いてきます。事業者に生じる平均的な損害を超える違約金の条項は無効なので、実費の内訳と根拠の提示を求めてください。

入金のタイミングも、先に決めておきたいところですね。実務の標準は引き渡しが先で振込が後。ただし時期は業者や方式で幅があり、買取店なら契約から2営業日〜1週間程度、引き渡しからおおむね5日〜2週間後という説明もあります。1社窓口のオークション型は引き渡しの7〜14日後と、さらに長めです。支払条件は契約時に必ず確認しておきましょう。

困ったときの窓口も知っておくと心強いですよね。消費者ホットライン「188」は相談料が無料です(通話料は別途かかります)。買取に特化した窓口としては、JPUC車売却消費者相談室(0120-93-4595・平日9時〜17時・相談無料)があります。

どうしても評価に納得できないときは、第三者査定という選択肢もあります。JAAIは全国52支所に専属の査定士を置いていて、普通乗用車の標準車で9,900円、小型乗用車・軽乗用車で7,150円(いずれも税込)という料金表が公開されています。

査定結果に疑義があるときは、査定証の発行日から7営業日以内なら再査定を請求できます。ただし費用がかかるので、高額車や修復歴で揉めそうな車に限った選択肢かなと思います。一般的な乗用車なら、複数社に査定させるほうが費用ゼロで幅が見えます。

なお、料金や制度は改定されることがあります。正確な情報は各協会や事業者の公式サイトで確認し、契約や税金の判断で迷ったら専門家に相談してくださいね。

車の査定額の決まり方でよくある質問

洗車やクリーニングをしてから査定に出すと、査定額は上がりますか?

上がりません。洗車や掃除の有無を評価する項目が、そもそも査定基準にないためです。ただし汚れで傷が見えにくいと安全側に厳しく評価されることがあるので、減額を防ぐ意味はあります。掃除で効くのは臭い・ペットの毛・ヤニの3つで、それぞれ40点の減点対象。ここは防げる範囲です。一方で高額なクリーニングは費用を回収できないことが多いので、まず一度そのまま査定を受けてから判断するのがおすすめですよ。

車検を通してから売ったほうが得ですか?

多くの場合は損になります。公式の車検残加点表では、残24か月でも基準クラスで51点、軽で30点。1点1,000円で換算しても5万円前後です。一方で業者に頼む車検費用は10万〜15万円程度かかります。加点が費用を上回らない構造なので、車検が近いなら通す前に一度査定を受けてみるのがいいかなと思います。

小さな傷やへこみは、直してから査定に出すべきでしょうか?

直さずに出すほうが無難です。1cm未満の傷やへこみは減点の対象外とされますし、爪が引っかからない浅い傷はほとんど減額されません。修理代のほうが減点額より高くつくケースが多いんですよね。ただし部位で重さは変わり、カードサイズを超えるへこみはルーフだと50点、A4サイズを超えると80点まで上がります。気になる場合は、修理の見積もりと査定額を両方取って比べてみてください。

個人でオートオークションに直接出品できますか?

できません。会員になるには、古物商許可(自動車)を取得してから1年以上経過していること、常設の営業所があること、入会保証金を預けることなどが求められます。古物商許可そのものも申請手数料が19,000円かかり、不許可でも返金されません。1台売るために取るのは現実的ではないので、会員業者に出品を代行してもらうか、個人向けのオークション型サービスを使うことになります。

一括査定に申し込むと、電話は何件くらいかかってきますか?

経験者481人への調査では、1〜4件が約65%、5〜9件が約25%、10件以上が約10%でした。ただし社数と着信本数は別物で、別の調査では6〜10本という回答が49%を占めています。放置しても自然には止まらないので、他社で決まったら断りの連絡を入れる必要があります。電話を減らしたいなら、依頼先の社数を絞るか、運営1社だけが窓口になる型を選ぶのが確実です。

まとめ:車の査定額は3層で決まり比較で動く

BUDDY
BUDDY

3つの層に分けて見たら、頭の中がすっきりしたよ。

動かせないところで悩まなくて済むのが、いちばん大きいかなと思います。

りょう
りょう

査定額は、卸相場でできた基準価格に統一基準の加減点を乗せ、最後に各社が自社の事情で調整した結果です。第1層は動かせず、第2層も書類のような一部を除けば減点を防ぐ方向にしか動かせません。自分で選べるのは第3層だけだからこそ、複数社を比べることが唯一の実効手段になります。

査定額の3層構造と業者差の理由、自分でできる確認方法をまとめた記事全体の要点を俯瞰した図
  • 査定額は「相場 → JAAI基準の加減点 → 各社の調整」の3層で決まる
  • 年式は基本価格そのものを下げ、走行距離は基本価格に率で効く
  • 修復歴は骨格7部位に手が入ったかで決まり、事故の有無では決まらない
  • 色に固定の加算額はなく、点数は毎月更新の価格ガイドブック側にある
  • 書類・純正装備・事故歴の申告は、主に減点を防ぐ方向で自分から動かせる
  • 業者差は販路・在庫・利益計画から出る構造的なもので、比較でしか埋まらない
  • 提示額は「概算レンジとのズレ」と「手続きの異常」の2軸で見る

ここに挙げた点数や金額は、あくまで一般的な目安です。基準や料金は改定されますし、実際の評価は現車を見た査定士が決めます。正確な情報は各協会や事業者の公式サイトで確認し、契約や税金で迷ったら専門家に相談してくださいね。

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