こんにちは。asovica(アソビカ)、運営者の「りょう」です。
寒くなってくると、暖房をつけっぱなしで走ることが増えますよね。そこで気になるのが「暖房を使うとガソリンが減るのでは?」という疑問。ネットでは「暖房はタダ」という話もよく見かけます。
ただ、この「タダ」が当てはまるのは主にガソリン車です。ハイブリッド車やEVでは、暖房が燃費や電費をはっきり下げることがあります。車のタイプによって、答えが変わるんですね。
この記事では、メーカーの取扱説明書や公的機関のデータをもとに、車のタイプ別に暖房と燃費の関係を整理しました。暖房以外で冬に燃費が落ちる理由や、燃費を落とさない暖まり方もまとめています。
- ガソリン車・ハイブリッド・EVで暖房が燃費に与える影響の違い
- ハイブリッドが暖房でエンジンを止めない理由と設定温度のコツ
- 暖機運転やアイドリングなど暖房以外で冬の燃費が落ちる理由
- 燃費・電費を落とさない冬の暖まり方とやりがちな失敗
車の暖房で燃費が大きく落ちるのはHVとEV
結論から言うと、ガソリン車の暖房は燃費への影響が小さく、大きく落ちるのはハイブリッド車とEVです。違いを生むのは、暖房の「熱をどこから持ってくるか」。ここを押さえると、冬の燃費の疑問がすっきり整理できます。

暖房ってエアコンのボタンで動くよね。ガソリン車もハイブリッドも、同じ仕組みじゃないのかな?
見た目のスイッチは同じでも、熱の出どころが違うみたいですよ。車のタイプ別に並べて確かめてみましょう。
| 車のタイプ | 暖房の熱源 | 暖房そのものの燃費(電費)への影響 |
|---|---|---|
| ガソリン車・ディーゼル車 | エンジン冷却水の排熱 | 小さい(送風ファンの電力分など) |
| ハイブリッド車 | エンジン冷却水の排熱 | 大きい(暖房のためにエンジンが止まらない) |
| EV(電気自動車) | 駆動用電池の電気 | 大きい(暖房の電力が航続距離を削る) |
ガソリン車は、エンジンが捨てている熱を暖房に回しています。燃料を暖房のために余分に燃やすわけではありません。そのため走行中に限れば「暖房はほぼタダ」と言えます。
ハイブリッド車も熱源は同じエンジン冷却水です。ところが、普段はエンジンを止めて燃費を稼ぐ車。冬は暖房のためにエンジンを回す時間が増え、その分の燃料を直接使います。
EVには、暖房に使えるほどの排熱がほとんどありません。そのため電池の電気で熱を作ります。暖房の電力がそのまま走れる距離から差し引かれる仕組みです。
「暖房はタダ」はガソリン車の走行中に限った話で、ハイブリッド車とEVには当てはまりにくい
ガソリン車の暖房はガソリンを消費しないって本当?
ガソリン車の場合、走行中の暖房そのものはほぼガソリンを消費しない、というのは概ね本当です。ただし「完全にゼロ」ではありません。燃料を使ってしまう場面が3つあるので、順番に見ていきます。

まずは暖房の仕組みから。エンジンを冷やした冷却水は、走行中は100℃前後に保たれる設計です。この熱い冷却水を車内側の「ヒーターコア」という熱交換器に通し、ファンの風を当てて温風にしています。
設定温度を上げ下げしたときに動くのは、主に「エアミックスダンパー」という仕切り板。ヒーターコアを通す風と通さない風の割合を変えて、吹き出す温度を調整しています。つまり温度を上げても、燃料を多く燃やすわけではないんですね。
暖房でも燃料を使う3つの場面
①暖まるまで停車してアイドリングする時間(この間の燃費はゼロ)
②送風ファンなど電装品の電力(発電のために間接的に燃料を使う)
③A/Cボタンを入れたままの暖房
特に大きいのが①の「暖まるまでの待ち時間」です。止まったまま暖房のためにエンジンを回すと、進んでいないのに燃料だけが減ります。この点は後半の暖機運転・アイドリングの章で詳しく触れます。
②のファンの電力は、エンジンが回す発電機(オルタネーター)がまかなっています。発電の負荷も燃料由来なので、厳密にはタダではありません。とはいえ暖房の熱そのものに比べれば、影響は小さいと考えてよさそうです。
A/Cボタンを押すと燃料を使う理由
A/Cボタンで動くのは、冷房と除湿を担う「コンプレッサー」です。エンジン車のコンプレッサーはエンジンの力で回るため、A/Cを入れると燃料を使います。暖房の熱源とは別の装置なんですね。
暖房中にA/Cを入れると、空気はまず冷却用の熱交換器で冷やされます。このとき空気中の水分が水滴になって取り除かれ、乾いた空気をヒーターコアで温め直して吹き出します。ホンダの取扱説明書では、この状態を「除湿暖房」と呼んでいます。
逆に言えば、A/CをOFFにしても温風は出ます。失われるのは除湿の機能で、暖かさではありません。窓が曇っていない場面なら、暖房だけでA/Cは必須ではないということですね。
注意したいのは、デフロスター(フロントガラスの曇り取り)です。ホンダや日産の取扱説明書では、デフロスターを押すとエアコンが自動で作動すると説明されています。曇り取りの間は、燃料を使っている前提で考えておくと安心です。
また、外気温が0℃近くまで下がると、表示灯が点いていてもA/Cが作動しないことがあります(日産・トヨタなどの取扱説明書)。真冬の寒い朝は、そもそも除湿が働いていない場合もあるわけです。
環境省の「A/CをONのままだと約12%燃費悪化」は外気温・車内設定とも25℃の条件の値で、冬の暖房時の悪化率ではありません
冬のA/Cの使い分けは、曇り対策まで含めると話が長くなります。ここでは「暖房の熱は燃料を使わないが、A/Cは燃料を使う」という線引きだけ覚えておいてください。
ハイブリッドで暖房を使うとエンジンがかかる理由
ハイブリッド車で暖房を使うとエンジンがかかるのは、暖房の熱源がエンジン冷却水で、その温度を保つためにエンジンを回す必要があるからです。故障ではなく、取扱説明書どおりの仕様なんですね。

ハイブリッド車はエンジンを止めている時間が長く、冷却水が冷めやすい車です。暖房を使うと冷えた冷却水を温め直すため、エンジンが始動します。トヨタのカローラ HEV の取扱説明書には、次のように書かれています。
トヨタ取扱説明書の記載
「冬季:ガソリンエンジン・車室内が暖まるまで、ガソリンエンジンが自動停止しないので、燃料を消費します。」(カローラ HEV 取扱説明書「エコドライブのアドバイス」より)(出典:トヨタ カローラ HEV 取扱説明書「エコドライブのアドバイス」)
トヨタのシエンタ HEV の取扱説明書では、エンジンが自動停止しない条件として次のものが挙げられています。冬に当てはまりやすい項目がいくつもありますね。
- ガソリンエンジン暖機中
- 暖房をかけているとき
- 駆動用電池の温度が高いとき、または低いとき
- 駆動用電池充電時
冬の朝に「停車中もエンジンが回りっぱなし」で驚く方もいるかなと思います。これはシステムが自動で暖機・暖房をしている状態で、運転者が別に暖機運転をする必要はありません(トヨタ公式FAQ)。
冬の燃費低下はガソリン車の約2倍
米エネルギー省の燃費情報サイト(fueleconomy.gov)は、外気温約−7℃と約25℃で燃費を比べたデータを公開しています。市街地走行の燃費低下は、ガソリン車で約15%、ハイブリッド車で約30〜34%。寒さによる燃費の落ち込みは、ハイブリッド車がガソリン車の約2倍という結果です。(出典:米エネルギー省 fueleconomy.gov「Fuel Economy in Cold Weather」)
| 条件(約−7℃と約25℃の比較) | ガソリン車 | ハイブリッド車 |
|---|---|---|
| 市街地の燃費低下 | 約15%(10〜20%) | 約30〜34%(20〜40%) |
| 5〜6km程度の短距離 | 最大約24%(15〜33%) | 25〜45% |
差が開く理由は、ハイブリッド車の燃費の稼ぎ方にあります。普段はエンジンを止めてモーターで走る時間が、燃費の良さを支えています。冬はその「止める時間」が暖機・暖房のために削られてしまうわけです。
駆動用電池が冷えていると、エンジンを止める条件を満たしにくくなる点も効いてきます。短距離の移動を繰り返す使い方ほど、落ち込みが大きくなりやすい傾向です。
数字はあくまで米国の試験条件での一般的な目安です。車種や地域、走り方で変わるので、「ハイブリッドは冬に燃費が落ちやすい」という傾向として受け取ってください。
設定温度1℃の差で再始動のタイミングが変わる
ハイブリッド車では、エアコンの設定温度を上げるほど、エンジンが早くかかりやすくなります。設定温度が高いほど、高い冷却水温を保とうとする制御になるためです。
自動車メディアに載ったハイブリッド車オーナーの実験記録に、わかりやすい例があります。車種や外気温の記載はなく、あくまで1台の事例として紹介します。
| 設定温度 | 冷却水温とエンジンの動き |
|---|---|
| 25℃ | 水温約40℃で暖機 → 55℃で停止 → 48℃まで下がると再始動、を繰り返す |
| 26℃ | 水温58℃まで下がった時点で再始動 |
設定を1℃上げただけで、エンジンがかかる水温が約10℃高くなった計算です。水温が少し下がるとすぐエンジンがかかるので、止まっている時間が短くなります。
同じ記事では、設定温度を1℃下げて燃費が約2km/L改善したとも書かれています。ただ条件が不明な体験値なので、幅のある目安として見ておくのがよさそうです。「上げすぎると損をしやすい」という方向性が伝われば十分かなと思います。
メーカー公式の対策としては、トヨタの取扱説明書が「エコドライブモード」を挙げています。エアコン(暖房/冷房)の作動を抑え、燃費向上につながるという説明です。
停車中にシフトをNに入れても燃費向上の効果はなく、Nでは駆動用電池が充電されません(トヨタ取扱説明書)
寒冷地では、寒冷地仕様の電気式補助ヒーターも選択肢です。トヨタ アクアの場合、エンジンが暖まるまで暖房を補う装置で、短時間で暖房が効くとされています。北海道地区とE-Fourは全車標準、2WDはメーカーオプションです。
EVの暖房で電費が大きく下がる理由
EVの暖房で電費が大きく下がるのは、暖房の熱を駆動用電池の電気でゼロから作るためです。エンジン車のように、捨てる熱を回して使うことができません。

エンジン車は、燃料のエネルギーの多くを熱として捨てています。ガソリンエンジンの熱効率は約30%から約40%まで上がってきましたが、それでも残りの多くは熱です。この捨てる熱が、暖房の「タダの熱源」になっていました。
一方、EVのモーターは効率が約9割と高く、暖房に回せる熱がほとんど出ません。効率の良さが、冬はかえって暖房の弱点になるのは面白いところですよね。
暖房の方式は大きく2つです。電気抵抗で発熱する「PTCヒーター」は暖まるのが早い反面、消費電力が大きめ。外気の熱を汲み上げる「ヒートポンプ」は消費電力が小さい一方、外気温が極端に低いと効率が落ち、暖まるのも遅くなります。
日産リーフや三菱アウトランダーPHEVは、ヒートポンプとPTCヒーターを併用する例として紹介されています。お持ちの車がどちらの方式かは、取扱説明書やメーカー公式サイトで確認してみてください。
廃熱がないEVは暖房で航続距離が約4割減る
米国のAAA(米国自動車協会)が2019年に行った試験では、外気温約−7℃で暖房を使うと、EVの航続距離が平均41%減りました。同じ寒さでも暖房を切った場合は約12%減にとどまっています。(出典:AAA(米国自動車協会)「Icy Temperatures Cut Electric Vehicle Range Nearly in Half」)
| 条件(約−7℃・EV) | 効率の低下 | 航続距離 |
|---|---|---|
| 暖房を使用 | 約39%低下 | 約41%減 |
| 暖房をOFF | 約8%低下 | 約12%減 |
寒さそのものより、暖房の使い方で差がつくということですね。米エネルギー省も、寒さで増えるエネルギーの約3分の2が車室の暖房に使われるとしています。
車種別では、最も減ったBMW i3sで50%、最も少なかった日産リーフで31%でした。ただし試験は2017〜2018年式の車で行われています。最新の車にそのまま当てはまるとは限らない点には注意が必要です。
メーター表示の航続可能距離にも癖があります。トヨタ bZ4Xの公式ガイドによると、表示は一定のエアコン温度を想定して計算しています。そのため暖房の設定次第で、実際に走れる距離とずれることがあるそうです。
トヨタは「暖房温度設定をHiで常時使用するなど極端な使用をされた場合、大幅に航続距離が短くなる可能性」があるとも案内しています。冬の遠出では、表示の数字に余裕を持たせて計画したいところです。
暖房とは別に、低温では電池の反応そのものも鈍くなります。航続距離が減ったり充電に時間がかかったりしますが、トヨタは「バッテリー容量の低下ではございません」と明記しています。暖かくなれば戻る性質のものと考えてよさそうです。
ヒートポンプ車は冬でも航続距離が落ちにくい
暖房の方式による差もはっきり出ています。米国Recurrent社が2024〜2025年冬に集めた実走データでは、0℃での航続距離はヒートポンプ搭載車で平均約83%を維持。ヒートポンプのない車(約75%)より、冬の落ち込みが小さい結果でした。
| 0℃での航続距離の維持率(米国・実走データ) | 平均 |
|---|---|
| ヒートポンプ搭載車 | 約83% |
| ヒートポンプ非搭載車 | 約75% |
| テスラ モデル3(ヒートポンプあり/なし) | 87%/79% |
同じ車種でも、ヒートポンプの有無で差が出ているのがわかります。寒い地域でEVを選ぶなら、ヒートポンプの有無は比較のポイントになりそうです。
ただ、ヒートポンプ車でも外気温が極端に低い日は効率が落ちます。北海道のような寒冷地では、暖房の使い方の工夫とあわせて考えるのが現実的かなと思います。詳しい装備は、販売店で確認してみてください。
暖房以外にも冬に燃費が悪くなる理由
「暖房をつけていないのに冬は燃費が悪い」と感じるのは気のせいではありません。特にガソリン車では、冬の燃費悪化の主な原因は暖房そのものより冷えたエンジン・タイヤ・空気と、暖まるまでのアイドリングです。

暖房を控えめにしてるのに、冬は燃費計の数字が下がっちゃうんだよね。なんでだろう?
調べてみると、暖房とは関係ない原因もけっこうあるみたいですよ。ひとつずつ切り分けてみましょう。
| 冬の燃費悪化の要因 | 暖房との関係 | 自分で減らせるか |
|---|---|---|
| 暖まるまでの停車アイドリング | 暖房目的で起きやすい | 減らせる |
| 冷えたエンジン・オイルの摩擦 | 間接的 | 冷えた状態での始動回数を減らす |
| ハイブリッドのエンジンが止まらない | 暖房・暖機・電池の低温 | 設定温度・エコモードで抑える |
| タイヤ空気圧の低下 | 無関係 | 月1回以上の点検 |
| スタッドレスタイヤの転がり抵抗 | 無関係 | 履き替え時期の判断 |
| 冷たい空気による空気抵抗の増加 | 無関係 | ほぼ減らせない |
| 雪道・渋滞での低速走行 | 無関係 | ― |
日本の実燃費データでも、冬の落ち込みははっきり出ています。省エネルギーセンターの燃費データを紹介した報道によると、月ごとの燃費の差は温暖地で10%強、寒冷地の北海道では30%弱でした。
寒い地域ほど、冬の燃費の落ち込みが大きいということですね。要因としては、雪道の走行や暖機での燃料増、暖房のためのアイドリング増が挙げられていました。
冷えたエンジンは、オイルが固く摩擦が大きい状態です。最も効率の良い温度に達するまで時間がかかるため、短い距離を何度も走るほど不利になります。用事をまとめて、冷えた状態で始動する回数を減らすのが効果的です。
暖機運転は冬でも数十秒で走り出せば十分
メーカーや環境省は、今の乗用車では基本的に暖機運転は不要としています。極端な低温や長く乗らなかった場合でも、トヨタが勧める暖機は「数十秒間」です。数分〜十数分のアイドリングは求められていません。
| 発信元 | 通常時 | 例外 |
|---|---|---|
| トヨタ(ガソリン車) | 通常は必要なし | 極端な低温時・長期未使用時は数十秒 |
| トヨタ(ハイブリッド車) | 必要なし | 記載なし(システムが自動で行う) |
| SUBARU | 基本的に必要なし | 極寒冷地など特別な状況 |
| 環境省 | 基本的に不要 | −20℃程度の極寒冷地など |
トヨタは暖機運転の目的を「冷えたオイルを十分に暖め、エンジンの各部にオイルを十分に潤滑させること」と説明しています。オイルが回るのを待つだけなので、長い時間は要らないわけです。
代わりに推奨されているのが、走りながら暖める「ウォームアップ走行」。急発進・急加速を避け、回転数を抑えて穏やかに走り出します。米エネルギー省も、約30秒で穏やかに発進することを勧めています。
暖機をやめた効果のデータもあります。環境再生保全機構の試験では、暖機をせずに出発したガソリン車でCO2排出量が約6%減りました。比べた暖機は最大7分30秒です。
報道では、10分暖機してから市街地を4.2km走ると、暖機なしより燃費が25%悪化したという省エネルギーセンターの調査も紹介されています。一次資料は確認できていないので、参考程度に見てください。
フロントガラスが凍って前が見えないときは、無理に出発しないでください。この場合の待ち時間は、エンジンを温めるためではなく視界を確保するためのものです
アイドリング1時間でガソリンはどれだけ減る?
省エネルギーセンターの公表値(2000cc車)では、アイドリング10分で約130ccの燃料を使います。これを単純に6倍すると、1時間のアイドリングで約0.8L、A/Cを入れたDレンジなら約1.5Lが目安です。
| 条件 | 公表値(10分) | 1時間に換算した目安 |
|---|---|---|
| ニュートラル・A/C OFF | 約130cc | 約0.8L |
| Dレンジ・A/C ON | 約250cc | 約1.5L |
1時間の値は10分の値を6倍しただけの計算で、公表値そのものではありません。排気量や外気温、電装品の使い方で変わるので、あくまで一般的な目安としてください。
冷えた状態の暖機は、また別の数字です。環境再生保全機構は「5分間暖機運転すると約160ccの燃料を消費」としています。冷えているときはアイドル回転が高めに制御されるため、上の換算とは混ぜずに見るのがよさそうです。
ちょっとした停車でも、エンジンを切るかどうか迷いますよね。省エネルギーセンターによると、エンジン始動で増える燃料はアイドリング約5秒分と同じです。駐車や荷物待ちなどで5秒以上止まるなら、燃料の面ではエンジンを切った方が得になります(2000cc車での目安)。ただし信号待ちや渋滞など走行中の一時停止では、手動でエンジンを切るのは避けてください。燃費より安全が優先で、停止はアイドリングストップ機能に任せるのが基本です。
長時間のアイドリングは、燃料以外の面でも注意が必要です。東京都をはじめ多くの自治体が、条例で駐停車時のアイドリング・ストップを定めています。
雪でマフラーがふさがった状態でエンジンをかけ続けると、排気ガスが車内に入り一酸化炭素中毒の危険があります。大雪の中で車内にとどまるときは、可能な限りエンジンを切って防寒具で暖を取り、あわせてマフラー周りをこまめに除雪してください
燃費を落とさない冬の暖まり方
燃費を落とさない暖まり方のコツは、止まって暖めるのではなく、走りながら暖めること。ハイブリッド車とEVなら、車内全体より体を直接温めることです。車のタイプ別に手順をまとめました。
| 車のタイプ | 燃費・電費を落とさない暖まり方 |
|---|---|
| ガソリン車 | 数十秒で穏やかに発進/暖まるまで風量は控えめ/暖房だけならA/Cは必須ではない |
| ハイブリッド車 | 暖機は不要/設定温度を上げすぎない/エコドライブモード/シートヒーター併用 |
| EV | 充電ケーブル接続中にプレ空調/設定温度は控えめ/シートヒーター・ステアリングヒーター優先 |
ガソリン車で意外と効くのが、暖まるまで風量を抑えることです。冷えた冷却水のまま風を強く当てると、冷たい風が出るうえ、エンジンの温まりも遅れます。オートエアコンが始動直後にしばらく送風を止めるのも、冷たい風を防ぐための設計です。
EVでは、出発前のプレ空調が有効です。充電ケーブルをつないだまま車内を暖めれば、走行用の電池ではなく外部の電力で暖められます(米エネルギー省の推奨)。
HVとEVはシートヒーターで設定温度を下げる
ハイブリッド車とEVで頼りになるのが、シートヒーターやステアリングヒーターです。体を直接温めるぶん、エアコンの設定温度を下げやすくなります。
ハイブリッド車では、シートヒーターは冷却水の温度と関係しません。そのためエンジン再始動のきっかけになりにくいのが利点です。設定温度を控えめにして、足りない分をシートで補うイメージですね。
EVについては、トヨタ bZ4Xの公式FAQも、冬はシートヒーターやステアリングヒーターの活用を勧めています。省エネモードでは、エアコンは乗員の周辺だけを暖め、シートヒーターなどの直接暖房を優先する設計です。
効果の大きさは、JAFの実験からも読み取れます。2021年12月、外気温−6℃〜−8.6℃のスキー場で、同じ車種のEV4台を5時間待機させたテストです。電力残量70%からスタートしています。(出典:JAF Mate Online(JAFユーザーテスト再構成記事))
| 暖房の条件 | 5時間後の電力残量 | 乗っていた人の体感 |
|---|---|---|
| エアコンオート・25℃設定 | 38% | 最後まで快適 |
| 電気毛布のみ(エアコンOFF) | 66% | 足元と顔が冷えた |
| シートヒーター+フットヒーター(エアコンOFF) | 60% | 足元まで温かかった |
| 毛布+寒いときだけエアコン | 60% | 指先・首から上が冷えた |
エアコンを使い続けた車が、最も電力を使いました。シートヒーターとフットヒーターの組み合わせは、電力を抑えつつ足元まで温かかったという結果です。局所暖房は当たっている部分しか温めないので、足元用を組み合わせるのがポイントになりそうです。
シートヒーターの注意点
トヨタの取扱説明書は、低温やけど防止のため「長時間連続して使用しない」「毛布やクッションなどを併用しない」よう警告しています。また、後付けヒーターを電源ソケットで使う場合、多くの車は120W未満が上限です。正確な値は取扱説明書で確認してください。
エンジンやシステムを止めた状態で使い続けると、バッテリー上がりの原因にもなります。純正装備がない車で後付けを考えるときは、消費電力や自動オフ機能もあわせて確認しておくと安心です。
空気圧を秋のままにするなど冬にやりがちな失敗
冬に見落としやすいのが、タイヤの空気圧です。タイヤメーカーのコンチネンタルによると、外気温が10℃下がると空気圧は約11kPa下がります。秋に合わせた空気圧のままだと、冬には自然と低くなっているわけです。
しかも空気は、何もしなくても少しずつ抜けていきます。ブリヂストンの資料では、自然低下の目安は1か月で約10〜20kPa。気温の低下と自然低下が重なるのが、秋から冬にかけての時期です。
| 空気圧の不足(50kPa) | 燃費の悪化 |
|---|---|
| 市街地 | 2.5% |
| 郊外 | 4.3% |
| 高速道路 | 4.8% |
燃費だけでなく、タイヤの寿命や走行の安定性にも響くのが空気圧です。点検は月1回以上、タイヤが冷えている状態で測るのが基本。基準値は運転席ドアの開口部のラベルか、取扱説明書で確認できます。
空気圧以外にも、冬にやりがちな失敗があります。どれも燃料を余計に使うので、思い当たるものがないかチェックしてみてください。
- 暖房を効かせるために10分以上アイドリングしてから出発する
- エンジンが冷えたまま送風を最大にする
- ハイブリッド車で設定温度を高め(Hiなど)にしたまま短距離を繰り返す
- シートヒーターに毛布を重ねて長時間使う
スタッドレスタイヤも、柔らかいゴムで変形が大きいぶん燃費が悪くなる傾向があります。ただメーカー公式の悪化率は公表されていません。雪や路面凍結の心配がなくなったら、履き替えの時期を考えるきっかけにしてみてください。
空気圧の調整に不安がある方は、ガソリンスタンドやタイヤショップで相談すると安心です。警告灯が点いたまま消えないときは、無理に判断せず販売店や整備工場で点検を受けてくださいね。
車の暖房と燃費のよくある質問
ハイブリッド車で停車中もエンジンが回り続けるのは故障ですか?
冬は暖機・暖房・駆動用電池の温度の条件で、エンジンが自動停止しない仕様になっています。取扱説明書どおりの動きなので、多くの場合は故障ではありません。ただし、この状態が2〜3日続くような場合は販売店で点検を受けるよう、トヨタの取扱説明書は案内しています。
日産のe-POWERでも暖房でエンジンがかかりますか?
e-POWERは発電用エンジンの冷却水を暖房に使うため、暖房のためにエンジンがかかることがあると専門メディアで解説されています。ただ、日産公式の情報では確認できていません。気になる方は、取扱説明書や販売店で確認してみてください。
アイドリングストップ中に暖房がぬるくなるのはなぜですか?
ホンダの取扱説明書では、アイドリングストップ中は冷暖房が止まり、送風だけになると説明されています。暖房を止めたくない場合は、ECONモードをOFFにする方法が案内されています。この場合はアイドリングストップもOFFになるので、燃費とのバランスで選ぶのがよさそうです。
スタッドレスタイヤにすると燃費は悪くなりますか?
柔らかいゴムで変形が大きいため、燃費が悪くなる傾向はあります。ただしメーカー公式の悪化率は公表されていません。販売店の解説では夏タイヤ比で5〜15%程度とされていますが、あくまで目安です。転がり抵抗の等級表示(低燃費タイヤのラベル)もスタッドレスは対象外です。
PHEVの暖房は燃費・電費にどう影響しますか?
PHEVは電気で走る時間がある分、EVと同じく暖房の電力が走れる距離に影響します。米エネルギー省は、PHEVやEVは充電ケーブルをつないだまま車内を予熱し、車室の暖房の代わりにシートヒーターを使うよう勧めています。暖房の方式は車種で異なるので、取扱説明書で確認してください。
車の暖房と燃費の要点まとめ:影響が大きいのはHVとEV
暖房がタダかどうかは、車のタイプで答えが違ったんだね。
そうなんですよね。自分の車がどのタイプかを思い浮かべながら、要点を振り返ってみましょう。
車の暖房と燃費の関係は、熱をどこから持ってくるかで決まります。ガソリン車は捨てる熱を使うのでほぼタダ。ハイブリッド車とEVは、暖房が燃費・電費をはっきり下げます。

- ガソリン車の走行中の暖房は燃費への影響が小さい。燃料を使うのはアイドリング・電装品・A/C
- ハイブリッド車は暖房のためにエンジンが止まらず、冬の燃費低下はガソリン車の約2倍
- ハイブリッド車は設定温度を上げるほどエンジンがかかりやすい
- EVは暖房で航続距離が約4割減ることがあり、ヒートポンプ車は落ちにくい
- 暖機運転は基本不要。必要な場合も数十秒で穏やかに走り出す
- 冬は空気圧が下がりやすいので月1回以上、冷えた状態で点検する
- HV・EVはシートヒーターを併用して設定温度を控えめにする
紹介した数値は、特定の条件で測った一般的な目安です。車種や地域、走り方で結果は変わります。正確な情報は、お乗りの車の取扱説明書やメーカー公式サイトをご確認ください。
絶対にこれが正解という話ではなく、自分の車に合った暖まり方を探すきっかけになればうれしいです。気になる症状があるときは、無理に判断せず販売店や整備工場に相談してくださいね。
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