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タイヤチェーンはいつ必要?義務になる規制区間とスタッドレスの扱い

2026年9月28日

タイヤチェーンが義務になる場面とチェーン規制の対象13区間を示す解説イラスト

こんにちは。asovica(アソビカ)、運営者の「りょう」です。

冬に車で出かける前、「タイヤチェーンって義務なの?」と気になりますよね。スタッドレスを履いていても、チェーンを積まないと違反になるのか。ニュースで「チェーン規制」と聞くと、少し不安になるかもしれません。

先に結論を言うと、スタッドレスでもチェーンが必須になるのは、基本的に大雪時に出る「チェーン規制」の区間です。対象は全国13区間で、ふつうの雪の日には出ません(ほかに、警察の判断でチェーン装着が求められる例外もあります)。一方、ノーマルタイヤのまま雪道に入るなら、規制がなくてもチェーンか冬用タイヤが必要です。

この記事では、義務になる3つの場面の違いと、13区間に自分のルートが当たるかの判定方法を整理します。罰則の中身や、雪国以外の人がチェーンを持つべきかの判断基準、種類の選び方と準備までまとめました。

私は整備士ではない一般ユーザーなので、国土交通省やNEXCOなどの公式情報を確認しながら書いています。今乗っているCX-5で冬に出かけるならどうするか、自分ごととして読み比べた結果です。

  • タイヤチェーンが義務になる3つの場面と、スタッドレスで通れる規制・通れない規制の違い
  • チェーン規制が出る条件と、対象13区間に自分のルートが当たるかの判定方法
  • チェーン規制や雪道の義務に違反したときの罰則と、現場での実際の扱い
  • 雪国以外の人がチェーンを持つべきかの判断基準と、種類の選び方・準備

タイヤチェーンが義務になる場面は3つある

「タイヤチェーンが義務」と言われる場面は、①雪道全般、②冬用タイヤ規制、③チェーン規制の3つです。スタッドレスでもチェーンが必須になるのは、基本的に③のチェーン規制。①と②は、スタッドレスを履いていれば通れます。

雪道全般・冬用タイヤ規制・チェーン規制という3つの場面で、スタッドレスで通れるかチェーンが必須かを比較した図
BUDDY
BUDDY

雪道ではチェーンが義務って聞くけど、スタッドレスを履いていても付けなきゃダメなのかな?

ひと口に「義務」といっても、中身がいくつかに分かれているみたいですよ。まずは表で並べてみましょう。

りょう
りょう
場面根拠スタッドレスだけで通れるかチェーンが必要になる人
①積雪・凍結路を走るとき全般都道府県の道路交通法施行細則など(沖縄県以外)通れるノーマルタイヤで雪道に入る人
②高速道路・国道の冬用タイヤ規制道路管理者・警察の規制通れる(M+S表示だけのタイヤは不可の場合あり)ノーマルタイヤ、M+Sだけのオールシーズンタイヤの人
③チェーン規制(異例の大雪時・13区間)道路法第46条の通行禁止と、2018年新設の標識通れないスタッドレス・4WD・オールシーズンを含む全車

表のとおり、ノーマルタイヤの人は①と②ではチェーンか冬用タイヤ、③ではチェーンが要ります。一方、スタッドレスの人が主に気にすべきは③です。「スタッドレスでもチェーンが義務」という話は、この③を指しています。

つまり答えは、「どのタイヤを履いているか」と「どの規制が出ているか」の組み合わせで決まります。自分がどこに当てはまるか、順番に見ていきましょう。

雪道全般はスタッドレスかチェーンが義務

積雪や凍結した道を走るときは、冬用タイヤかチェーンなどの滑り止めを付ける義務があります。いわゆる「防滑措置」の義務です。規制が出ていなくても、雪道をノーマルタイヤで走ること自体が違反になりえます。

意外なことに、この義務は道路交通法の本体には書かれていません。根拠は、各都道府県の道路交通法施行細則や道路交通規則です。沖縄県を除くすべての都道府県に規定があります。

そのため、ルールの中身は走る場所の都道府県ごとに決まります。書きぶりも、県によって少しずつ違います。

県規定の要旨
群馬県積雪・凍結で滑るおそれのある道路では、駆動輪のタイヤに鎖などの滑り止め装置を施すか、雪路用タイヤを用いる
山梨県積雪・凍結している道路では、タイヤチェーンやスノータイヤを取り付けるなど有効なすべり止めの措置を講じる
広島県駆動輪にタイヤチェーンを取り付けるか、全車輪にスタッドレスタイヤやスノータイヤを装着するなど、路面に応じた滑り止めの措置を講ずる

「駆動輪だけでよい」と読める県もあれば、「全車輪」と書く県もあります。文言は統一されていないので、細かな条件は走る県の規則を確認するのが確実です。スタッドレスを全輪に履いていれば、この義務は満たせると考えてよさそうです。

ノーマルタイヤの人は、規制の有無に関係なく、雪道に入る前にチェーンか冬用タイヤが必要です。

冬用タイヤ規制はスタッドレスで通れる

高速道路や国道で雪が降ったとき、まず出るのが「冬用タイヤ規制」です。スタッドレスなどの冬用タイヤを履いていれば、チェーンなしで通れます。ノーマルタイヤの車も、チェーンを付ければ通行できます。

チェーン規制よりずっと出る回数が多いのが、この冬用タイヤ規制。NEXCO西日本は、冬の高速道路の規制として次の2つを案内しています。

規制内容
冬用タイヤ規制冬用タイヤ(スタッドレス・スノー)の車か、チェーンなどの滑り止めを付けた車が通れる(必要な装置は都道府県で異なる)
チェーン規制大雪特別警報や大雪に関する緊急発表が出るような異例の大雪のときに実施。全車輪が冬用タイヤでも、チェーンを付けていない車は走れない

ここで気をつけたいのが、タイヤの側面にあるマークです。冬用タイヤと認められるかどうかは、このマークが手がかりになります。

マーク意味冬用タイヤ規制での扱い
M+S(マッド&スノー)泥道・雪道にある程度対応できるとメーカーが自主的に付ける表示。統一の性能試験は経ていないM+Sだけの表示だと、冬用タイヤとして扱われない場合がある
スノーフレークマーク(山と雪の結晶の図)雪上性能の試験に合格したタイヤに付く冬用タイヤとして認められる

とくに注意したいのがオールシーズンタイヤです。製品によって、M+Sだけのものとスノーフレークマーク付きのものがあります。NEXCO西日本は、冬用タイヤ規制ではスノーフレークマーク付きを全車輪に履くよう案内しています。一部の車輪だけの装着では通れません。(出典:NEXCO西日本『冬用タイヤ』)

オールシーズンを履いている人は、一度タイヤの側面をのぞいておくと安心ですよね。同じ「オールシーズン」でも、規制のときに通れるかどうかが分かれます。

チェーン規制はスタッドレスも4WDも通れない

チェーン規制は、通行止めにするほどの大雪のときに「チェーンを付けた車だけは通す」規制です。スタッドレスでも4WDでも、チェーンを付けていなければ区間に入れません。大型車も扱いは同じです。

もともと、異例の大雪のときは道路を通行止めにするのが基本。チェーン規制は、その通行止めの区間でも、チェーン装着車だけは通れるようにする位置づけです。

制度の始まりは2018年12月14日。国の命令の改正で、「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の標識が新設されました。通行止め系の標識では唯一、青地に白の図柄です。

法的には、道路管理者が道路法第46条第1項にもとづいて行う通行の禁止・制限の一種です。違反したときの罰則も重く、詳しくは後の章で整理します。

では、なぜスタッドレスでもダメなのか。国土交通省は、スタッドレスを履いていても大雪では立ち往生する車があることを、導入の理由に挙げています。

4WDも例外ではありません。国土交通省は、重量が大きく、下り坂で急ブレーキをかけたときの停止距離が長くなることを理由にしています。

タイヤ冬用タイヤ規制チェーン規制
スタッドレス通れるチェーンが必要
オールシーズン(スノーフレークマーク付き)通れる(全車輪に装着が条件)チェーンが必要
オールシーズン(M+Sのみ)冬用と認められない場合があるチェーンが必要
ノーマル(夏タイヤ)チェーンを付ければ通れるチェーンが必要

表のとおり、チェーン規制だけはタイヤの種類を問いません。メーカー側も、ヨコハマやダンロップはオールシーズンタイヤの案内で「チェーン規制時はチェーンが必要」と明記しています。

チェーン規制はいつどこで出る?対象13区間

チェーン規制が出るのは、大雪特別警報や「大雪に対する緊急発表」が出るような異例の大雪のときです。場所は、国土交通省が指定する全国13区間です。「冬のあいだずっと」でも「雪が降ればどこでも」でもないと覚えておくと、整理しやすいですよ。

大雪特別警報級の発表からNEXCOや国交省サイトでの確認、通過ICと13区間の照合、該当時のチェーン携行までの判断手順を示した図
BUDDY
BUDDY

全国で13区間って、思ったより少ないんだね。自分の行き先にもあるのかな?

発令の条件と区間の一覧を順番に確かめて、自分のルートと照らし合わせてみましょう。

りょう
りょう

大雪特別警報級で発令 情報はNEXCO等で確認

国土交通省が示す発動の条件は、「大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるとき」。ふつうの雪では出ない、例外的な規制です。

引き金になる「大雪に対する国土交通省緊急発表」は、国土交通省と気象庁が合同で出す防災情報です。内容は、不要不急の外出を控えるよう求めるもの。やむを得ず運転する場合は、冬用タイヤやチェーンを早めに付けるよう呼びかけます。

この運用は、2014年2月に関東甲信で記録的な大雪があり、多くの車が立ち往生したことを機に始まりました。緊急発表は、大雪の数日前に出るのが通例です。

過去の発表を見ると、2022年12月21日、2023年1月23日・2月9日、2024年1月22日などに出ています。2026年1月19日には、気象庁との合同会見も開かれました。

日付を並べると、真冬の寒波の時期に出ていることが分かります。この時期に規制区間を通る予定があるなら、出発の数日前から発表をチェックしておきたいですね。

規制の実施は、次のような方法で知らされます。

  • 道路管理者(地方整備局・国道事務所)のホームページやSNS
  • NEXCO各社の交通情報
  • ラジオの交通情報
  • 道路沿いの道路情報板

チェーン規制は常設ではありません。規制が出ていなければ、区間内でもチェーンなしで通れます。

ただし、13区間の外でもチェーンが必要になる例外はあります。NEXCO西日本によると、路面が悪化したときに警察(高速道路交通警察隊長)の判断で「チェーン装着車以外通行止め」が行われる場合があります。一般道の山間部でも、積雪や凍結の状況によっては、全車輪が冬用タイヤでもチェーンを付けないと走れない「全車両チェーン装着規制」が行われることがあるそうです。

頻度は高くありませんが、雪の多い山道を走るならスタッドレスでもチェーンを積んでおくと安心です。現地の道路情報板や案内に従ってください。

チェーン規制13区間の一覧(国道6・高速7)

国土交通省「雪防災」ページのチェーン規制箇所一覧は、直轄国道6区間・高速道路7区間の計13区間です。2026年9月25日に確認した内容で、ページの最終更新は2024年9月でした。(出典:国土交通省『道路:雪防災(チェーン規制)』)

制度が始まった2018年12月の発表も、同じ13区間でした。一覧は次のとおりです。

区分路線・箇所名区間都道府県延長
直轄国道国道112号 月山道路西川町月山沢〜鶴岡市田麦俣山形県15.2km
直轄国道国道138号 山中湖・須走山梨県山中湖村平野〜静岡県小山町須走字御登口山梨県・静岡県8.2km
直轄国道国道7号 大須戸〜上大鳥村上市大須戸〜村上市上大鳥新潟県15.3km
直轄国道国道8号 石川県境〜坂井市あわら市熊坂〜あわら市笹岡福井県3.2km
直轄国道国道54号 赤名峠広島県三次市布野町横谷〜島根県飯南町上赤名広島県・島根県2.5km
直轄国道国道56号 鳥坂峠西予市宇和町〜大洲市北只愛媛県7.0km
高速道路E18 上信越道信濃町IC〜新井PA(上り線のみ)新潟県・長野県24.5km
高速道路E20 中央道須玉IC〜長坂IC山梨県8.7km
高速道路E19 中央道飯田山本IC〜園原IC長野県9.6km
高速道路E8 北陸道丸岡IC〜加賀IC石川県・福井県17.8km
高速道路E8 北陸道木之本IC〜今庄IC福井県・滋賀県44.7km
高速道路E73 米子道湯原IC〜江府IC岡山県・鳥取県33.3km
高速道路E74 浜田道大朝IC〜旭IC広島県・島根県26.6km

区間の長さは、最短が国道54号の赤名峠で2.5km、最長が北陸道の木之本IC〜今庄ICで44.7kmです。どこも、急な上り下りのある峠など、過去に立ち往生や通行止めが起きた場所。そのなかから、チェーンを着脱できる場所や、解除まで待機できる場所がある区間が選ばれています。

ネット上には「15区間」「高速8区間」と書かれた情報も見かけます。ただ、国土交通省の一覧表は上の13区間です。区間は見直される可能性もあるので、出発前に国土交通省の公式サイトで最新の一覧を確認してください。

自分のルートが13区間を通るかICで判定

自分が当てはまるかどうかは、ルート上の通過ICや地名を、13区間の一覧と照らし合わせるだけで判定できます。高速道路の区間は「○○IC〜○○IC」の単位なので、通るICを並べれば一目で分かります。

判定は、次の順番で進めると迷いません。

  • ナビや地図アプリでルートを出し、通過するICや国道の区間を書き出す
  • 13区間の一覧と照らし合わせる(上信越道は上り線のみが対象)
  • 当たる場合は、出発前の数日間に大雪特別警報や緊急発表が出ていないかを確認する
  • 当日は、道路管理者やNEXCO各社の交通情報、ラジオで規制の有無を確かめる
  • 当たらない場合も、ノーマルタイヤなら冬用タイヤ規制や雪道の義務に備えてチェーンか冬用タイヤを用意する

一覧を地方別に並べ直すと、区間の偏りがはっきりします。

地方チェーン規制の区間
東北国道112号 月山道路(山形)
北陸国道7号(新潟)、国道8号(福井)、北陸道の2区間
甲信・東海国道138号 山中湖・須走(山梨・静岡)、中央道の2区間、上信越道
中国国道54号 赤名峠、米子道、浜田道
四国国道56号 鳥坂峠(愛媛)
北海道・関東・九州なし(近畿も中心部にはなし)

北海道・関東・九州には、区間がひとつもありません。現実的に当てはまりやすいのは、首都圏から冬の甲信・北陸へ車で出かける人です。

具体的には、中央道の須玉IC〜長坂IC、飯田山本IC〜園原IC、上信越道、国道138号の山中湖・須走が候補になります。関西から北陸・山陰方面へ向かう人も、北陸道や米子道などの区間を通るなら対象です。

住んでいる場所より、冬にどこへ行くかで決まる。調べてみて、ここがいちばん大事なポイントだと感じました。

13区間に当たらなくても安心はできません。ノーマルタイヤの車は、ふつうの雪で出る冬用タイヤ規制や雪道の義務で通れなくなります。

チェーン規制の罰則と現場で止められる実害

チェーン規制中にチェーンなしで区間を走ると、道路法違反として罰則の対象になりえます。ただ実際には、罰則より先に「区間の手前で止められ、先へ進めない」実害がやってきます。

チェーン規制違反の道路法上の罰則と、実際にはチェーンチェック場で止められて先へ進めなくなる現場の実害を対比した図

まずは罰則の中身を整理しておきます。チェーン規制と雪道の防滑措置の義務では、罰則の種類がまったく違います。

違反の中身根拠罰則
チェーン規制中に、チェーンなしで区間を通行道路法第103条第3号6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
積雪・凍結路をノーマルタイヤのまま走行(防滑措置義務違反)都道府県の道路交通法施行細則など反則金:大型車7,000円、普通車・自動二輪6,000円、原付5,000円

チェーン規制の違反は、反則金ではなく刑事罰の枠です。2025年6月の刑法改正より前の資料では「懲役」と書かれていますが、現行の条文では「拘禁刑」になっています。

防滑措置の義務違反は反則行為として扱われ、反則金を納めない場合は刑事手続きに進みます。どちらも、正確な扱いは警察や道路管理者の公式情報で確認してください。

とはいえ、現場の取り締まりは「走った後に検挙」より「入口で止める」形が中心です。規制区間の手前には「チェーンチェック場」が設けられ、装着の状況が確認されます。

チェーンを付けた車は、そのまま通行できます。付けていない車は、チェーン着脱場で装着するよう案内されるか、引き返すことになります。

山形の国道112号・月山道路の例では、着脱場所として2か所が案内されています。道の駅月山から山形方向へ1.0km先の大網チェーン着脱場と、月山ICから鶴岡方向へ0.8km先の荒沢駐車帯です。

チェックで見られるのは「装着しているか」です。チェーンを積んでいても、付けていなければ通れません。

雪と寒さのなか、着脱場で初めてチェーンの袋を開けるのはかなり大変ですよね。罰金よりも、現地で立ち往生したり引き返したりするほうが、旅程へのダメージは大きいかなと思います。

判断に迷ったら、道路情報板や現場の案内に従うのが基本です。無理に進もうとせず、危ないと感じたらロードサービスに相談する前提で動きましょう。

雪国以外もチェーンは要る?スタッドレスとの分担

チェーンが要るかどうかは、住んでいる地域ではなく「冬にどこへ行くか」で決まります。冬に13区間や雪山を通る可能性があるなら、雪国以外の人もチェーンを1組積んでおくのがおすすめです。反対に、雪の日は運転しない人なら必須ではありません。

冬に13区間を通る人・雪国でスタッドレスを使う人・雪の少ない地域に住む人という3タイプ別に、チェーンを積むべきかどうかをまとめた図
BUDDY
BUDDY

都会に住んでると雪なんてほとんど積もらないし、チェーンはいらない気がするけどなあ。

家のまわりだけなら、そうかもしれませんね。でも行き先しだいで話が変わりそうなので、一緒に考えてみましょう。

りょう
りょう

日常はスタッドレス、大雪と急坂はチェーン

スタッドレスとチェーンは、どちらか一方を選ぶものではありません。日常の雪道はスタッドレス、大雪と凍った急坂はチェーンという役割分担で考えるとすっきりします。

根拠になるのが、JAFが北海道士別市で行った登坂テスト(2017年2月)です。前輪駆動のコンパクトカーで全長50mの坂を使い、平坦路から助走する場合と、坂の途中から発進する場合を分けて試しています。

路面・勾配ノーマルオールシーズンスタッドレスチェーン
圧雪路 勾配12%登れない登れない登れる登れる
圧雪路 勾配20%登れない登れない助走すれば登れる(途中からの発進は不可)—
氷盤路 勾配9%——単体では登れないスタッドレス+チェーンで登れる

注目したいのは、スタッドレスでも登れない坂があることです。圧雪の急坂で一度止まると再発進できず、凍った坂ではゆるい勾配でも単体では登れませんでした。そこで効くのが、スタッドレスにチェーンを足す組み合わせです。(出典:JAF『雪道での登坂テスト(JAFユーザーテスト)』)

止まる力でも、路面によって得意なタイヤが入れ替わります。同じJAFのテストで、時速40kmから急ブレーキをかけたときの制動距離は次のとおりでした。

路面スタッドレスオールシーズンノーマル
圧雪路17.3m22.7m29.9m
氷盤路78.5m101.1m105.4m

氷盤路では、スタッドレスでも78.5mかかっています。「スタッドレスなら止まれる」と思いがちですが、凍った路面ではどのタイヤも止まりにくいのが実際のところ。ちなみに氷盤路でいちばん短く止まれたのは、チェーンを付けた車でした。

スタッドレスを履いたうえでチェーンを1組積み、大雪や凍った坂でだけ付け足す。これが、いちばん現実的な組み合わせ方かなと思います。スタッドレスへの履き替えがまだの人は、チェーンと合わせて冬タイヤの準備も進めておくと安心です。

スキーや帰省で雪山へ行くなら1組積む

スキーや温泉、年末年始の帰省などで冬に雪山へ行くなら、チェーンを1組積んでおくのが結論です。自分がどのタイプかは、次の表で判断できます。

あなたのタイプチェーンの要否理由
冬に13区間を通る可能性がある(首都圏→甲信・北陸、関西→北陸・山陰など)積んでおく大雪時はスタッドレスでも通れない
雪国に住んでいてスタッドレスを装着、13区間は通らないあると安心スタッドレス単体では登れない凍った坂がある
雪の少ない地域に住み、ノーマルタイヤのままスキーや温泉へ行く必須(または冬用タイヤに履き替え)冬用タイヤ規制や雪道の義務で通れない
雪の少ない地域に住み、雪の日は運転しない必須ではない年に数日の積雪日にどうしても運転するなら、緊急用があると良い

都市部に住んでいると、雪の備えはつい後回しになりますよね。気象庁の平年値では、積雪1cm以上の日は東京で年2.8日、大阪で0.7日しかありません。

一方、長野は53.7日、新潟は38.5日です。しかもこれは市街地の観測点の値で、峠道やスキー場のまわりはもっと厳しくなります。

平地の都市に住んでいても、行き先は雪国と同じ条件です。NEXCO中日本も、出発地が晴れていても目的地や途中で雪が降ることがあるとして、チェーンの携行を案内しています。

とくに注意したいのが、ノーマルタイヤのままスキーに行くケース。13区間を通らなくても、ふつうの雪で出る冬用タイヤ規制や雪道の義務で先へ進めなくなります。チェーンを積むか、冬用タイヤに履き替えるかのどちらかは必要です。

雪の日は運転しないと決めている人は、無理に買わなくても大丈夫です。ただ、どうしても運転する日が年に数日でもあるなら、緊急用として装着が簡単な布製を1組置いておく選択肢もあります。

関連記事:オールシーズンタイヤは雪道で大丈夫?走れる条件と危ない場面

結局どれを買う?チェーンの選び方と準備

チェーン規制はどの種類のチェーンでも通れるので、選び方は用途で決めます。急坂を越えるなら金属、扱いやすさなら非金属、年1〜2回の緊急用なら布製が目安です。どれを選んでも、買ったら一度は装着の練習をしておきましょう。

非金属タイヤチェーンと布製タイヤチェーンを価格帯と特徴・向く用途で比較した図

金属・非金属・布製の違い オートソックも規制対応

国土交通省のQ&Aによると、チェーン規制で使えるのは「自動車用品店などで販売されているもの」。参考として、金属、ウレタン&ゴム、布製カバーの3タイプが示されています。

スプレーで薬剤を吹き付けるタイプは、チェーン規制では通れません。オートソックのような布製は認められていて、輸入・販売元の中発販売も規制対応を明記しています。

用途ごとに向く種類をまとめると、次のようになります。

用途向く種類理由
急坂や峠を越える可能性がある、コスト重視金属(亀甲型)JAFの登坂テストで比べた3種類のうち、勾配20%を登れたのは亀甲型だけ。価格も安い傾向
装着の簡単さと走行の安定を両立したい非金属(ウレタン・ゴム)曲がる・止まるが安定しやすく、ジャッキアップ不要の製品が多い
年1〜2回の緊急用、輸入車などタイヤまわりのすき間が狭い布製装着がいちばん簡単。ただし耐久性が低く、湿った雪に弱い

輸入・販売元の中発販売による種類別の評価も参考になります。

評価項目金属(はしご型)金属(亀甲型)非金属布製
制動◎◎●●
登坂◎◎●▲
横滑り●◎●●
耐久性▲●◎×
装着性▲●▲◎
乗り心地▲●▲◎
収納性●●×◎
価格の安さ◎●▲●

記号は、◎とても優れている・●優れている・▲良好・×イマイチの順で、中発販売が自社の商品どうしを比べた評価です。表では非金属の装着性が▲ですが、ジャッキアップ不要など付けやすさを工夫した製品もあるので、個別の製品の説明も確かめてください。非金属を選ぶなら、JASAA(日本自動車交通安全用品協会)の認定品が性能の目安になります。

布製は手軽な反面、弱点もはっきりしています。解け始めの水分の多い雪では、雪が貼りついて空転しやすいという実走の報告があります。乾いた舗装路を走ると急速に傷むので、雪道を抜けたら外す前提の「緊急用」と考えましょう。

価格の例も載せておきます。メーカー公式の販売価格(税込・2026年9月確認)で、サイズによって変わります。

製品種類税込価格
カーメイト バイアスロン クイックイージー(QE1〜QE20)非金属26,800〜36,800円
オートソック ハイパフォーマンス(HP600〜HP697)布製18,800〜22,800円

ブランド品の非金属・布製は、2万〜3万円台が中心です。金属チェーンは、同じサイズならこれより安いものが多い傾向。価格はあくまで目安なので、購入時に最新の価格を確認してください。

カーメイト バイアスロン クイックイージー

装着の簡単さと走行の安定を両立したい人向けの非金属チェーン

価格目安:26,800〜36,800円(税込・サイズで変動)

オートソック ハイパフォーマンス

年1〜2回の緊急用に。装着が簡単な布製で、チェーン規制にも対応

価格目安:18,800〜22,800円(税込・サイズで変動)

サイズは、タイヤ側面の表記(例: 195/65R15)をもとに適合表で選びます。スタッドレスと夏タイヤでサイズが違う車は、チェーンを付けるほうのタイヤに合わせてください。

初心者こそ買ったら一度装着練習して積む

チェーンは、買って積んだだけでは役に立ちません。本番は雪・寒さ・暗さのなかでの作業になるので、乾いた平らな場所で一度は練習しておくのが安心です。NEXCO西日本やJAFも、購入後の装着リハーサルをすすめています。

よくある失敗が、本番まで一度も袋から出していなかったパターン。サイズが合わない、付け方が分からない、と着脱場で気づいても手遅れですよね。準備から本番までは、次の流れで進めると安心です。

  • 購入したらすぐ袋から出し、タイヤに合うサイズか確かめる
  • 晴れた日に、乾いた平らな場所で一度装着してみる
  • 手袋・膝をつくためのマット・ライトを、チェーンと同じ場所に積んでおく
  • 本番の装着はSA・PA・チェーン着脱場で行い、本線上や路肩では付けない
  • 付けたら少し走ってから締め直す(取扱説明書の指示に従う)
  • 雪のない区間に出たら外す

付けるのは駆動輪が基本です。FF車は前輪、FR車は後輪。4WDは車の基本構造で変わるので、取扱説明書で確認してください。

駆動輪を間違えると危険です。JAFがFFのプリウスで試したテストでは、後輪に付けると勾配12%の坂を上れず、カーブでは外側へ大きくはらみました。JAFは、対向車線に飛び出すなど重大事故につながる可能性を指摘しています。

本線上での装着はNG

高速道路の本線上でチェーンを付けるのは大変危険です。最寄りのSA・PAか、チェーン着脱場まで進んでから作業しましょう。作業に不安があるときは、無理をせずロードサービスやカー用品店に相談してください。

練習のときに必要な道具も洗い出しておくと、本番で慌てません。雪の季節が来る前に一度、家の前で試しておくと安心かなと思います。

タイヤチェーンの義務と準備のよくある質問

チェーン規制の標識がある道は、いつでもチェーンが必要ですか?

いいえ、チェーン規制は常設の規制ではなく、異例の大雪のときだけ実施されます。平時に「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の標識を見かけても、規制が出ていなければチェーンなしで通れます。規制が出ているかどうかは、道路情報板や交通情報で確認してください。

スプレー式の滑り止めはチェーン規制で使えますか?

使えません。国土交通省は、スプレーのように薬剤を吹き付けるタイプではチェーン規制の区間を通れないとしています。規制区間を通る可能性があるなら、金属・非金属・布製のいずれかのチェーンを用意しておきましょう。

チェーンを付けたまま何キロくらいで走れますか?

速度の目安は、金属チェーンが時速30km、非金属チェーンが時速50km前後です。布製は、製品によって時速40〜50km程度とする解説があります。実際の上限は製品の取扱説明書に従ってください。超えるとチェーンが壊れる原因になり、雪のない舗装路ではこまめに外すのが基本です。

チェーンを付ければ、どんな雪道でも走れますか?

残念ながら、どこでも走れるわけではありません。JAFの登坂テストでは、勾配20%の圧雪路で金属のはしご型や非金属のチェーンが途中でスリップしました。NEXCO中日本も、チェーンを付けても積雪や凍結の状況によっては走れないことがあると注意しています。大雪の日は、出かけること自体を見直すのが安全です。

タイヤチェーンはいつ買って準備しておけばいいですか?

雪のシーズンが来る前に買って、一度装着の練習まで済ませておくのが理想です。スタッドレスへの履き替えと同じタイミングに合わせると、忘れにくいかなと思います。ブリヂストンは、履き替えの目安を「初雪予想の1ヵ月前」や「最低気温3℃以下」としています。

まとめ:スタッドレスでもチェーン必須なのは規制13区間

BUDDY
BUDDY

スタッドレスでもチェーンが必要なのは、基本は大雪のときのチェーン規制の区間なんだね。

そうみたいですね。あとは自分の行き先がそこに当たるかどうかで、準備が決まりそうです。

りょう
りょう

タイヤチェーンの義務は、履いているタイヤと出ている規制の組み合わせで決まります。日常はスタッドレスで十分ですが、大雪時のチェーン規制13区間ではスタッドレスでも装着が義務です。最後に要点を振り返っておきます。

タイヤチェーンが義務になるのは大雪時のチェーン規制13区間が基本で、日常はスタッドレスで足り雪国以外も1組携行しておくとよいという記事全体の要点をまとめた図
  • 雪道全般(沖縄県以外)では、冬用タイヤかチェーンなどの滑り止めが義務
  • 冬用タイヤ規制はスタッドレスで通れるが、M+Sだけのタイヤは認められない場合がある
  • チェーン規制は大雪特別警報級の大雪で出て、スタッドレスも4WDもチェーンが必要
  • 対象は国道6区間・高速7区間の計13区間で、通過ICを一覧と照らせば判定できる
  • 違反は道路法の罰則の対象だが、実際は区間手前のチェックで止められる実害が先に来る
  • 冬に13区間や雪山を通るなら、雪国以外の人もチェーンを1組積み、一度練習しておく

規制の区間や内容、罰則は見直されることがあります。出発前には、国土交通省やNEXCO各社、道路管理者の公式サイトで最新の情報を確認してください。

チェーンの装着や雪道の運転に不安があるときは、無理に判断し切ろうとしないでください。ロードサービスや整備工場、カー用品店などの専門家に相談するのがおすすめです。

冬の遠出は、準備さえしておけばぐっと楽しくなりますよね。この記事が、あなたの冬のドライブの備えに役立てばうれしいです。

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