こんにちは。asovica(アソビカ)、運営者の「りょう」です。
そろそろ車を売ろうかというとき、真っ先に気になるのがボディの傷ですよね。「この擦り傷でいくら引かれるんだろう」「売る前に直した方がいいのかな」と、査定を受ける前から落ち着かない気持ち、私もよく分かります。
この記事では、傷の大きさ別に引かれる金額の目安と、直す価値がある傷・触らない方がいい傷の見分け方を整理しました。読み終わるころには、自分の車の傷をどう扱えばいいかの判断がつくようにまとめています。
- 傷の大きさ・種類別に引かれる金額の目安と、減点方式の仕組み
- 直すと損する傷と、直す価値がある傷の3つの分かれ道
- 自分でコンパウンドを使ってよい傷かどうかを判定する手順
- 契約後に減額を持ちかけられたときに身を守る備え方
結論:車買取の傷は直さず売るのが得
結論から言うと、車の買取で見つかった傷は原則としてそのまま、直さずに売る方が得です。自費で修理しても、かけた費用の分だけ査定額が戻ってくることは、まずありません。

理由はシンプルで、減額の金額は「買取業者が自分で直したときのコスト」を基準に決められているからです。業者は自社工場や提携工場を持っていて、私たちが街の板金屋さんに払う値段よりずっと安く直せます。だから小売価格で修理した人は、多くの場合は持ち出しになります。
とはいえ、何でもかんでも放置でいいわけではありません。傷の種類によっては、直さないと売ること自体が不利になるものもあります。私は次の3つに仕分けて考えるのが、いちばん分かりやすいかなと思っています。
| 分類 | 該当する傷 | 判断 |
|---|---|---|
| ① 自分で消せる | 爪が引っかからない浅い擦り傷・洗車傷 | 数百〜2,000円程度のコンパウンドで消える。費用対効果がはっきり出る領域 |
| ② 直さないと売却が不利 | 車検に通らない破損、下地が露出してサビが進行中の傷 | 減額の大小ではなく「売れる状態か」「悪化するか」で判断する |
| ③ 触らない | 板金・再塗装が必要な傷、へこみ、パネル交換級の損傷 | 修理費が減額幅を上回るのが通例。そのまま出す |
このうち、お金の面で得をするのは①だけです。②は損得ではなく「売れる状態かどうか」の話なので、傷の大小とは別枠で考えます。そして残りの大半は③、つまり触らないのが正解になります。
迷ったら「触らない」。DIYで安全に直せるのは、爪が引っかからない浅い傷だけです。
なお、この記事で挙げる金額はどれもあくまで一般的な目安です。査定額は車種・年式・走行距離・業者の販路で大きく変わります。最終的な数字は、実際に査定を受けて確かめてくださいね。
車の傷の減額目安:いくら引かれる?
ねえりょう、そもそも傷1個でいくらくらい引かれるものなのかな?金額が分からないから、よけいに怖いんだよね。
そこ、みんな気になりますよね。私も気になって調べたんですが、傷の大きさごとにだいたいの目安がちゃんと決まっていました。
へえ!じゃあその目安、一緒に見てみようよ。
先に目安をお伝えすると、1cm未満の小傷は0円、カードサイズ程度の傷で約1万円、A4サイズ級で1万〜2万円あたりが一般的な水準です。ここで言うカードサイズはクレジットカード大、8.5cm×5.4cmを指します。

思っていたより小さい、と感じた方も多いんじゃないでしょうか。ただし、へこみを伴う傷や部位によっては金額が一気に跳ね上がります。ここからは、その金額がどう決まっているのかを順に見ていきますね。
査定は減点方式:1点いくらの仕組み
査定は標準状態を0点として、そこから減点を積み上げる方式です。国内の買取・下取りの多くは、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)が定める中古自動車査定基準の加減点基準を使っています。(出典:一般財団法人日本自動車査定協会『査定とは?(査定の方法・加減点基準)』)
傷やへこみは減点だけで、加点されることはありません。逆に車検残や純正オプションは加点側に効きます。査定額は、加点と減点を差し引きした合計に「1点あたりの単価」を掛けて出てくるイメージですね。
この単価としてよく使われる目安が1点=約1,000円です。10点引かれたら約1万円、という換算になります。ただし、これは説明を分かりやすくするために簡便化した数字だという点は押さえておいてください。
実際の単価は軽自動車か普通車か、高級車かどうかで変わります。資料によっては1点あたり数百円〜千数百円というレンジで説明されています。つまり同じ大きさの傷でも、車が違えば引かれる額が違うということですね。
| 減点の内容 | 減点 | プリウスの場合 | GT-Rの場合 |
|---|---|---|---|
| ボンネットの傷・塗装(A4サイズ未満) | 20点/44点 | 20,000円 | 44,000円 |
| バンパー交換 | 50点/110点 | 50,000円 | 110,000円 |
| フロントドア交換 | 80点/187点 | 80,000円 | 187,000円 |
同じボンネットの傷でも、車によって倍以上の差が出ています。高年式・高額な車ほど、傷1つの実額ダメージが大きいと覚えておくといいかなと思います。
加点もセットで見る
査定には加点項目もあります。外装無傷で4万円、外装無減点で2万円、車検残12か月で普通車なら2.4万〜3.2万円といった具合です。裏を返すと、傷が1か所でもあると外装無傷の加点は失うということでもあります。
線傷・へこみ・ドアパンチ別の減額一覧
種類別に見ると、塗装だけの線傷は軽く、へこみを伴うと重くなるのが基本です。まずは塗装が剥がれて再塗装が必要になる傷の目安から見てみましょう。
| 傷の大きさ | 減点の目安 | 減額の目安 |
|---|---|---|
| 1cm未満 | 減点なし | 0円 |
| 1cm以上〜9cm未満(カードサイズ程度) | 約10点 | 約1万円 |
| 9cm以上〜30cm未満(A4サイズ程度) | 10〜20点 | 1万〜2万円 |
| 30cm以上 | 15〜40点 | 1.5万〜5.5万円 |
1cm未満なら査定書に状態として記載されるだけで、金額には響かないことがほとんどです。30cm以上の幅が広いのは、同じ長さでもルーフなのかバンパーなのかで扱いが変わるためですね。
へこみは、傷よりも一段重く見られます。特にルーフ(屋根)のへこみは別格で、面積が大きく板金の難度も高いぶん、減点が大きくなります。
| へこみの大きさ | 部位 | 減点の目安 |
|---|---|---|
| カードサイズまで | すべての部位 | -10点(約1万円) |
| カードサイズ〜A4サイズ | ボンネット・ドア類・フェンダー等 | -30点 |
| カードサイズ〜A4サイズ | ルーフ | -50点 |
| A4サイズ以上 | ボンネット・ドア類・フェンダー等 | -50点 |
| A4サイズ以上 | ルーフ | -80点 |
パーツ交換が必要なレベルになると、ルーフのパネル交換で-140点という基準もあります。1点1,000円換算なら14万円規模ということですね。屋根に脚立や積み荷を当ててしまうと痛い、というのはこういう理由です。
一方、隣の車のドアが当たってできるドアパンチは、塗装が割れていない浅いへこみならカードサイズまでで1万円前後に収まることが多いです。ぶつけられた瞬間は青ざめますが、金額としてはそこまで致命的ではないという感じです。
塗装をせずに裏から押し出すデントリペアという直し方もありますが、使えるのは塗装が割れておらず、パネルの裏側に工具を入れられる部位だけです。ピラーやルーフサイドのような袋状の構造、パネル端の折込部分、折れ目のあるへこみには使えません。
見落としがちなのがアルミホイールのガリ傷です。すり傷やくすみで5,000円〜1.2万円、交換が必要なレベルで2万〜4.7万円が目安になります。ただしこれは1本あたりの金額なので、縁石でこすった本数だけ積み上がっていく点に注意してください。
傷が複数ある場合は、原則として1か所ずつ減点されて合算されます。ただし同じパネルにへこみが集中していると、パネル交換扱いに切り替わって減点が頭打ちになるケースもあります。
修理費はいくら?直してから売ると損する仕組み
修理費と減額幅を同じ土俵に並べると、ほとんどの傷で修理費の方が高くつきます。5万円かけて板金しても、査定額のアップは2万〜3万円程度にとどまる、という説明が査定の現場からも出ています。

| 傷の種類 | 減額の目安 | 自分で払う修理費の目安 | 差引きの傾向 |
|---|---|---|---|
| 爪が引っかからない線傷・洗車傷 | 0〜5,000円 | コンパウンド代 数百〜2,000円(DIY) | DIYなら実質プラスになりうる |
| 塗装が剥がれた1〜9cmの傷 | 約1万円 | 1万〜3万円 | 修理が持ち出し |
| 9〜30cm(A4程度)の要再塗装 | 1万〜2万円 | 2万〜5万円 | 修理が持ち出し |
| へこみを伴う傷(9〜30cm) | 1.5万〜5万円 | 3万〜10万円 | 修理が持ち出し |
| バンパー割れ・変形 | 2万〜3万円 | 3万〜8万円(交換なら5万〜15万円) | 大幅に持ち出し |
| ドアパンチ(塗装割れなし) | 1万円前後 | デントリペア 1万〜2万円 | ほぼ相殺 |
| アルミホイールのガリ傷 | 5,000〜1.2万円/本 | リペア 8,000円〜/本 | ほぼ相殺 |
表を眺めると、はっきり手元に残るのは一番上のDIY領域だけ。ドアパンチやホイールのようによくて相殺どまりのものもありますが、そこから先は払うほど戻らない並びです。金額の話が続いたので言い換えると、お金を払って直すほど、手元に残るお金は減っていくということですね。
なぜこうなるのか。理由は大きく4つあります。
- 買取業者は自社の板金工場や提携工場で、中間マージンなしに安く直せる
- 減額幅は業者にとっての修理コストが基準なので、修理費の全額ぶん引かれるわけではない
- きれいに直しても、外板の交換跡・波状の修理跡そのものが10点程度の減点になる
- 素人の補修は膜厚計での測定やパネルの隙間のチェックですぐ見抜かれる
3つ目が意外と見落とされがちです。どれだけきれいに直しても、一度ダメージを受けた事実は残りますし、パーツ交換で塗装の色味が周囲とわずかに変わることもあります。「直せば無傷に戻る」わけではないんです。
実際、「直そうとして損をした」という失敗はパターンがだいたい決まっています。カー用品店の棚の前で迷ったときに、思い出してもらえたらと思います。
| 買ったもの・やったこと | 後悔の内容 |
|---|---|
| 粗目コンパウンド | 傷は消えたが白ボケしてツヤが失われ、かえって目立つ状態になった |
| ポリッシャー | 売却前の1回のために数千〜数万円を投じたが、減額の解消分が費用を下回った |
| タッチアップペン | 塗りすぎて盛り上がり、色も微妙に合わず、元の傷より目立つ補修跡になった |
| DIYデントリペアキット | へこみが広がった、塗装が割れて板金塗装が必要な状態になった |
| 売却直前の板金塗装 | 5万円かけて直したが、査定額のアップは2万〜3万円にとどまり差額が持ち出しになった |
共通しているのは、「きれいにしたい」という気持ちと「査定額を戻したい」という目的が混ざってしまっている点です。この2つは別物として切り分けて考えると、判断がぶれにくくなりますよ。
「車両保険を使えば実質タダでは」と考える方もいますよね。ただ車両保険を使うと原則3等級ダウンし、さらに事故有係数が3年間つきます。等級が元に戻るまで最低3年かかる計算です。
保険料の増加はその3年間ずっと続く一方で、査定に反映されるのは減額幅の解消分だけ。売る直前の車のために保険を使うのは、割に合わないことが多いです。
直す前に2つの金額を並べる
板金工場に見積もりを頼む前に、その傷でいくら引かれるのかを査定で確認しておくと判断がぶれません。減額幅より修理費が高いなら、直す理由は「査定額を戻すこと」以外にある、ということになります。
擦り傷を自分でコンパウンドで消す条件

でもさ、軽い擦り傷くらいなら自分で磨けば消えるんじゃない?
消えるものもありますよ。ただ、普段の洗車で磨いてきた感覚で言うと、磨いていい傷とダメな傷の線引きはけっこうシビアです。
うわ、それ知らずにゴシゴシしてたかも……。ちゃんと確かめてから触ろうよ。
自分で消していいのは、爪が引っかからず、水をかけると見えなくなる浅い傷だけです。この条件を外れた傷にコンパウンドを使うと、直すどころか減額を増やす方向に働きます。

理由は、車の塗装がとても薄いからです。クリア層・カラー層・下地層を全部足しても、せいぜい100μm、つまり0.1mmほどしかありません。髪の毛1本がだいたい80μm前後なので、塗装全体で髪の毛1本分くらいという厚みです。
その中で、磨いて安全に取り戻せるのは表面のクリア層で完結している傷だけ。範囲でいえば数μmの世界です。だからこそ、磨き始める前の判定がすべてなんですよね。
爪が引っかかるかテストのやり方
やり方は簡単で、傷に爪の先を直角に当てて、軽く滑らせるだけです。力を入れて押し付ける必要はありません。撫でるように動かして、手ごたえを確かめます。
大事なのは、洗車して汚れを落としたあと、乾いた状態で行うこと。砂や油膜が残っていると、傷の深さを勘違いしてしまいます。手ごたえは次の3段階で見分けてください。
| 手ごたえ | 傷が届いている層 | 対処 |
|---|---|---|
| 引っかからない(滑る) | クリア層内にとどまる浅い傷 | 市販のコンパウンドで補修できる可能性が高い |
| わずかに引っかかる | クリア層を超え、カラー層に達している可能性 | 磨いても消えないことがある。無理に磨かない |
| はっきり引っかかる | 塗装が削れて下地が露出した深い傷 | DIY研磨では限界。防錆の応急処置か専門店へ |
もうひとつ、水かけテストも併せてやってみてください。傷に水をかけて、濡れている間だけ傷が消えて見えるなら浅い傷です。水がクリア層の細かい溝を埋めて、光の乱反射が止まっている状態ですね。
逆に、水をかけても白い線が残るなら、クリア層より下まで届いています。同じ「白い線」でも、水で消えるなら磨いて直す傷、消えないなら塗料で埋める傷、と切り分けられるわけです。
爪テストと水かけテストの両方が「浅い」と出たときだけ磨く。片方でも「深い」と出たら触らないのが安全です。
使う研磨剤の番手と磨き方の手順
使う研磨剤は細目・極細目・超微粒子の3種類だけで十分です。粗目や中目はボディの傷消しではまず使いません。削れる量が多すぎて、元の傷は消えても塗装面が白くくもってしまうからです。
| 呼び名 | 粒子の目安 | ボディの傷消しでの扱い |
|---|---|---|
| 粗目 | P1000〜P1500相当 | 使わない(削りすぎる) |
| 中目 | — | 塗装の肌調整用。傷消しでは基本使わない |
| 細目 | — | 傷消しの主役 |
| 極細目 | 1μm前後 | 浅い洗車傷と、細目で付いた磨き跡の除去 |
| 超微粒子 | 極細目より細かい | 仕上げの鏡面出し |
市販の液体コンパウンドには、平均粒子サイズが明記されている製品があります。キズ消し用が3μm、仕上げ用が1μm、といった具合ですね。数字が書いてある方が、どれをどの順に使うか迷わずに済みます。
1回の磨きで削れる量は2〜5μm程度とされていますが、番手や力の入れ方、手磨きか機械磨きかで変わります。クリア層が30μmほどしかないことを思うと、同じ場所を磨ける回数には限りがある、という見当が立ちますね。
普段の洗車ついでに磨くようになってから、私は「同じ場所は何度も往復させない」を自分のルールにしています。残っているクリア層が今どれだけ薄いかは外から見ても分からないので、削れる量を数えられない以上、回数を抑える以外に守る方法がないんですよね。
だから細目で1〜2往復して様子を見て、消えなければそこで止める。売る前だからと焦って何度も磨き込むのが、いちばん危ない使い方だと思っています。
液体コンパウンド 3種セット(キズ消し用・仕上げ用・超鏡面用)
浅い擦り傷の補修は、細かい番手へ順に切り替える段階研磨が基本です。番手ごとにスポンジを分けられるセットなら磨き跡を整えやすい場合があるので、付属品の枚数も確認しておくと安心です。ごく浅い傷なら、細かい番手の単品だけで足りることもあります。
価格目安:2,000円前後(80ml×3種の例)
実際の手順は次のとおりです。順番を飛ばすと失敗しやすいので、面倒でも上から順にいきましょう。
- 洗車して汚れと砂を完全に落とす(砂粒が残ったまま磨くと新しい傷を作ります)
- シリコンオフなどで脱脂する(油分が残ると研磨剤が均一に働きません)
- 爪テストと水かけテストで深さを判定する(深いと出たらここで中止)
- 細目コンパウンドを少量つけ、円を描かず直線的に軽く磨く
- こまめに拭き取って傷の状態を確認する
- スポンジとタオルを交換して、極細目・超微粒子で磨き跡を消す
- ワックスまたはコーティング剤で保護して仕上げる
円を描くように磨くと、ぐるぐる状の磨き傷(スワールマーク)の原因になります。また作業は日陰で、ボディが冷えた状態で行ってください。直射日光の下だと研磨剤が乾いてしまい、それ自体が傷の元になります。
番手を切り替えるときは、スポンジもタオルも必ず交換します。粗い粒子が残っていると、せっかく細かい番手に替えても新しい傷を付けてしまうんですよね。
磨きすぎは逆に減額:中止のサイン
磨いている途中でスポンジやクロスにボディカラーと同じ色が付いてきたら、その場で中止してください。クリア層を削り切って、色の層まで達している可能性が高いサインです。
ここまで削ってしまうと塗装が剥がれ、再塗装が必要な状態になります。無減点だったはずの浅い傷が、1万円以上引かれる傷に「格上げ」されてしまうわけですね。
もうひとつの中止サインが、粒子の細かいコンパウンドに替えても消えないザラザラ感です。これはDIYでは対処できない深いダメージを意味しています。よくある失敗のパターンも見ておきましょう。
| 失敗 | 原因 | 結果 |
|---|---|---|
| 白ボケ・ツヤ消失 | 消したい傷より粗い粒子を使った | 元の傷は消えるが、磨きキズで塗装面が白っぽく曇る |
| クリア層の過度な摩耗 | 同じ箇所を長時間磨いた | クリア層が薄くなり、最悪カラー層まで到達する |
| 映り込みの歪み | 圧力が一点に集中、磨く方向が不揃い | 塗装表面に微細な凹凸ができ、光の反射が歪む |
| 補修跡が目立つ | タッチペンの塗りすぎ、ぼかし処理の失敗 | 周囲との色や段差がかえって目立つ |
白ボケしてしまったら、粒子の細かい仕上げ用に切り替えて、力を入れず手のひら全体で広い範囲を優しく磨き直します。ただしクリア層を削り切っている場合は、もう再塗装しか手がありません。
しかも磨きすぎは、膜厚が不均一になることで査定士の膜厚計に引っかかり、補修歴と判断されることもあります。減額を減らすつもりが、逆に増やしてしまうという流れですね。
DIY研磨は、うまくいって数千円の減点回避、失敗すると1万円以上の追加減額という、かなり割に合わないリスクの持ち方をしています。「消えないから強く」ではなく「消えないなら中止」と先に決めておくのがいいかなと思います。
車検に通らない傷は例外:ガラスのヒビ等
ここまで「直すな」と書いてきましたが、車検に通らない状態の破損だけは例外です。これは損得の話ではなく、そのままだと公道を走れず、売り方の選択肢そのものが狭まるからです。
見た目の傷とは別枠で考えたいのが、次のような項目です。
- 灯火類の球切れ・レンズ割れ(ヘッドライト、ブレーキランプなど)
- ヘッドライトの光量不足・光軸不良
- タイヤのスリップサイン露出(溝1.6mm未満)、ひび割れ
- フロントガラスのヒビ・割れ
- 足回りの損傷、警告灯の点灯(エアバッグ・ABS・ブレーキ・エンジンなど審査対象のもの)
代表格がフロントガラスです。保安基準では「損傷しても運転者の視野を確保できること」などが求められていて、運転席前方の視界に関わる位置のヒビは車検に通らない可能性が高くなります。合否は最終的に検査官の目視判断です。(出典:道路運送車両の保安基準 第29条(窓ガラス)/e-Gov法令検索)
金額も見ておきましょう。飛び石でできた直径1cm未満の小さな欠けなら、減額は5,000円〜1.5万円ほど。対してガラスリペアの費用は1.5万〜3万円なので、ここは触らない側の傷になります。
一方、ヒビが伸びて交換が必要な段階になると、減点は65〜75点、金額にして6.5万〜7.5万円規模です。交換費用も普通車で7万〜25万円と重く、どちらを選んでも痛い出費で、悩ましいところですよね。
だからこの項目だけは「直すと得か」ではなく、車検が切れる前に売るか、直してから売るかという時間軸で考えます。迷うなら、買取店とガラス専門店の両方で見積もりを取ってから決めるのが確実です。
安全に関わる部分は別枠
タイヤの溝や警告灯の点灯など、走行の安全に関わる部分は査定額より先に安全の問題です。無理に自分で判断し切ろうとせず、危ないと感じたら売る前に整備工場やロードサービスに相談してくださいね。
板金で事故車扱い?修復歴の境界線
「直したら事故車扱いになるのでは」と心配される方が多いのですが、ドアやバンパーなど外板の板金塗装で修復歴車になることはありません。修復歴になるのは、車の骨格部位をやったときだけです。
判定の基準は「事故を起こしたかどうか」ではなく「骨格部位を修理・交換したかどうか」。自損事故でも骨格に及べば修復歴になり、逆に事故に遭っても骨格が無事なら修復歴なし、という切り分けですね。
骨格部位として扱われるのは、次の8か所です。
| 骨格部位 | 位置・説明 |
|---|---|
| フレーム(サイドメンバー) | 車体前後の縦方向の骨組み |
| クロスメンバー | 左右のサイドメンバーをつなぐ横方向の部材 |
| インサイドパネル | エンジンルーム内側のパネル |
| ピラー | フロント/センター/リアの柱 |
| ダッシュパネル | エンジンルームと室内を隔てる壁 |
| ルーフパネル | 屋根 |
| ルームフロアパネル | 室内の床 |
| トランクフロアパネル | トランク(荷室)の床 |
ドアを損傷して丸ごと交換しても、ドアは骨格ではないので修復歴にはなりません。フェンダー、ボンネット、バンパー、トランクフードといった外板パネルの板金・塗装・交換も同じ扱いです。
さらに2019年4月1日からは基準が見直され、骨格部位であってもカードサイズ(8.5cm×5.4cm)未満の損傷は修復歴として扱わないことになりました。「骨格に少しでも触れたら即修復歴」ではないんです。(出典:一般財団法人日本自動車査定協会『中古自動車査定基準〔I〕(修復歴の判断基準)』)
ただし前の章で触れたとおり、修復歴にならないこと=無減点ではありません。外板の修理跡は10点程度の減点として残ります。
一方、実際に修復歴が付いたときの影響は桁違いです。修復歴なしと比べて1割〜5割規模で価格が動くとされ、実額で10万円以上下がるという説明もあります。損傷の程度でランク分けされていて、査定額50万円の車を想定した目安は次のとおりです。
| 修復歴のランク | 減額の目安(査定額50万円を想定) |
|---|---|
| 軽(Aランク) | 9.3万〜15.5万円 |
| 中(Bランク) | 15.4万〜25.3万円 |
| 重(Cランク) | 22.6万〜37.3万円 |
高級車や高年式の車では、この実額がさらに大きくなります。外板の10点程度と比べると、境界線の内側か外側かで世界が変わるのが分かりますよね。
ちなみに塗装まわりで特に重いのが全塗装です。同色以外の一般色で塗り替えると100点、元の色以外の特殊色だと250点という減点基準があります。ボディカラーを変えるカスタムは、売るときにかなり効いてくるという感じです。
修復歴の有無は中古車の販売時に表示が義務づけられている項目です。隠したまま売っても、後の検査で判明する可能性が高く、契約トラブルにつながります。
なお修復歴の判断基準は改定されることがあります。ご自身の車が該当するか微妙な場合は、正確な基準を公式の資料で確認するか、査定士に直接聞いてみてください。
傷を隠すとばれる?申告で身を守る
隠しても、まず見抜かれます。そして正直に申告しておくことが、契約後に減額を持ちかけられたときの一番強い反論材料になります。隠すメリットは、実質ないと思っていいです。
査定士は目で見るだけでなく、機器と構造のチェックで過去の修理を判定します。主な手がかりは次のとおりです。
- 膜厚計(塗膜計)による塗装の厚みの測定
- パネル間の隙間(チリ)が均一かどうか
- 色味やゆず肌(塗装表面の質感)の差
- ボルトの塗装剥がれ・工具跡
- シーラー(防水シール)の形状
膜厚計は塗膜の厚みを測る道具で、工場出荷時の基準から外れていれば過去の塗装を疑われます。「素人の補修はプロにはすぐ分かる」というのは、感覚の話ではなく測定に裏付けられた話なんです。
法律の面でも、隠すのは分が悪いです。2020年4月施行の改正民法で、従来の瑕疵担保責任は契約不適合責任に置き換わりました。わざと隠した場合だけでなく、うっかり伝え忘れた場合でも責任を問われます。
事故歴や修復歴を告知しないまま売却すると、買取店から損害賠償を請求されたり、契約の解除を求められることがあります。ただし申告が求められるのは自分が把握している範囲で、プロである査定士が通常の査定で見つけられたはずの修復歴を見落とした場合まで、売主が責任を負うわけではありません。知っていることを漏れなく伝えておくのが、いちばん確実な守り方です。
逆に言えば、査定時に伝えておいた傷を理由にした減額要求は、根拠が弱くなります。「それは査定時に申告済みです」と言えるかどうかで、こちらの立場はまったく変わってくるんです。
二重査定に備える契約前の確認と断り方
備えの中心は、契約前の記録と、契約書の減額条項の確認の2つです。減額を持ちかけられてから慌てて動くより、先に手を打っておく方がずっと楽ですよ。
契約前にやっておきたいことを挙げます。全部やっても30分ほどで済む内容です。
- 傷やへこみの位置・大きさを、撮影日が分かる形で写真に残す
- 査定時に傷・板金塗装歴・事故歴・保険を使った修理をすべて申告する
- 契約書に「再査定による減額条項」が入っていないか確認する
- 減額を行わない旨を事前に、できれば書面で確認する
- キャンセル条件とキャンセル料の規定を確認する
その場で即決を迫ってきたり、契約直後に車を持ち帰ろうとする業者は、少し慎重に見た方がいいかなと思います。短期間で押し切られる契約は、後から揉めやすい形です。
実際に減額を持ちかけられたら、まずは即答しないこと。どの部位の、どんな損傷で、いくらの減額なのか、その根拠は何かを具体的に確認します。査定時に伝えていた事項なら、それは減額の理由になりません。
「第三者機関の検査で判明した」と言われたら、検査結果の書面提示を求めましょう。合意できないまま押し切られそうなときは、一人で抱えずに相談窓口を使ってください。
困ったときの相談先
JPUC(一般社団法人日本自動車購入協会)の車売却消費者相談室は電話0120-93-4595、受付は9時〜17時(土日祝定休)です。公的な窓口としては消費者ホットライン188も使えます。受付時間や対応内容は変わることがあるので、最新の情報は各窓口の公式サイトでご確認ください。
ちなみに国民生活センターに寄せられる中古車売却の相談は、年1,100〜1,500件台で推移しています。2022年度は前年の同時期比で1.25倍に増えたと報告されました。決して珍しいトラブルではない、ということですね。(出典:独立行政法人国民生活センター『増加する中古自動車の売却トラブル−強引な勧誘やキャンセル妨害も−』(2023年3月22日公表))
相談で多いのは契約後の減額、キャンセル妨害、不明瞭な手数料といった内容です。そして傷・へこみ・修復歴は、契約後の減額の口実として最も使われやすい項目でもあります。だからこそ事前の記録が効くんです。
関連記事:電話がうざいと感じたときの断り方
傷だらけの車を高く売るコツと売り先
傷が多い車ほど、売り先を変えるだけで金額が大きく動きます。1社の提示額で決めてしまわず、最低でも3社は比べてみてください。

理由は、業者ごとに得意な車種や販路(自社販売、オークション、海外輸出、部品取り)が違うからです。自社の板金工場を持つ業者は安く直せるので減額を抑えられますが、修理を外注する業者は減額を大きく取ります。
実例として、同じ車を4社に出したところ1社目が15万〜20万円、2社目と3社目が25万円、4社目が32万〜35万円になった、という差が挙げられています。傷がある車ほど、この業者差は開きやすいと言われています。
| 売り先 | 向いている車 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| ディーラー下取り | 傷が少ない・買い替えと同時 | 手続きは楽だが、買取価格は低い傾向 |
| 中古車買取店・一括査定 | 年式が新しく走行距離が短い車 | 競争で価格が上がる。営業電話が集中しやすい |
| 事故車・傷だらけ専門買取 | 修復歴あり、傷が多数、走行に支障がある車 | 海外輸出や部品取りの販路があり値が付きやすい |
| 廃車買取業者 | 動かない車、古い車、損傷が大きい車 | レッカー代・手続き代行が無料の業者が多い |
| 個人売買 | 車に詳しい買い手が付く車 | 中間マージンはないが、契約不適合責任を自分で負う |
もし「査定額0円」と言われても、車の価値がゼロという意味ではありません。その業者の販路では値が付かなかった、というだけの話です。
廃車買取や事故車専門のルートなら、部品・鉄・レアメタル・リサイクル還付金の価値で値が付くことがあります。車両重量が大きい車なら、鉄の価値だけで1万円を超えることもあるそうですよ。
複数社に査定を出すこと自体が、不当な値切りに対する最大の防御になります。比較対象がないと妥当性を検証できません。
査定前の洗車と車内清掃で印象を上げる
お金をかけずにできる準備として、査定前の洗車と車内清掃はやっておく価値があります。傷そのものは消えませんが、「管理されている車かどうか」の印象は確実に変わります。
ひとつだけ注意点があって、査定前の洗車は手洗いで行ってください。洗車機のブラシは、ぐるぐる状の細かい洗車傷を増やしてしまいます。査定直前に使うのは避けたいところです。
他にも、費用をかけずにできることがあります。どれも当日ではなく、査定を申し込む前にやっておくと慌てずに済みますよ。
- 車内のニオイ対策(タバコ・ペット・異臭は各4万円規模の減点になることも)
- 整備記録簿・保証書・取扱説明書・スペアキーを揃える
- 社外パーツを付けているなら純正部品に戻す(純正が加点対象になることがある)
- 傷の位置と状態を自分で把握し、写真に残しておく
書類の紛失は1万〜4万円、取扱説明書だけでも5,000円の減点対象になります。外装の小さな傷を気にするより、まず引き出しの中を探した方が早いかもしれませんね。
ニオイも侮れません。異臭やペットの毛は各4万円規模の減点で、カードサイズの傷4か所分に相当することもあります。外から見える傷ばかりに目が行きがちですが、車内の状態も同じくらい効きます。
売るタイミングも少しだけ効きます。決算期にあたる2〜3月は需要が高まりますし、フルモデルチェンジの前なら相場が落ちる前に動けます。急がないなら、この辺りも頭の片隅に置いておくといいかなと思います。
関連記事:車を売る前の車内清掃はどこまで?査定士が見る箇所と手順
査定前の洗車をどこまでやるかは、別記事で範囲と手順を詳しくまとめています。
関連記事:査定前の洗車はどこまで必要?水洗いで十分な理由
車の買取と傷の減額についてよくある質問
洗車機でついた細かい傷も減額されますか?
爪が引っかからないレベルの洗車傷は「年式相応」と判断されて、減点されないことが多いです。ただし広範囲に及ぶと5,000円程度の減額対象になるという説明もあります。手洗いと細目コンパウンドで消える範囲なら、査定前に整えておくと印象が良くなりますよ。
アルミホイールのガリ傷も減額の対象になりますか?
対象になります。すり傷やくすみで5,000円〜1.2万円、交換が必要なレベルだと2万〜4.7万円が目安で、これは1本あたりの金額です。リペアは1本8,000円〜なので金額としてはほぼ相殺ですが、クラックや歪み、サビはDIYでは難しい部類です。直すと決めたなら専門店に相談してください。
下地が見えている傷は、売却まで放置して大丈夫ですか?
すぐ売るなら放置で構いませんが、売却まで数か月空くなら手当てを考えた方がいいです。下地や金属が露出した傷は雨水と酸素でサビが進み、塗装の内側で見えないまま広がっていきます。この場合はタッチアップペンでの防錆が目的であって、査定額を戻す目的ではない点に注意してください。
査定が終わってから引き渡しまでの間に傷をつけてしまったら?
すぐに買取業者へ連絡して、傷の箇所と経緯を正直に伝えてください。黙って引き渡すと、発覚したときに契約不適合責任や損害賠償の問題になります。報告したうえで、提示された減額が一般的な目安と比べて妥当かを確認するのが現実的な進め方かなと思います。
デントリペアなら修理跡が付かないので、直してから売った方が得ですか?
塗装をしない直し方なので、板金塗装のような修理跡の減点は付きにくいという利点はあります。ただし費用は1万〜2万円で、カードサイズのへこみの減額が約1万円ですから、金額としてはほぼ相殺かわずかに持ち出しです。塗装が割れている場合やパネル裏側に工具が入らない部位では施工できない点にも注意してください。
なお、提示された減額が妥当かを見るには、傷を抜きにした相場を先に押さえておくと判断しやすくなります。
関連記事:車の買取相場の調べ方|個人情報なしで概算を知る4つの方法
車買取の傷は「触らない」が基本の要点まとめ
結局、傷は直さないでそのまま出すのが正解ってことだね。
基本はそうですね。例外は、自分で磨ける浅い傷と、車検に関わる破損、それにサビが進みそうな下地むき出しの傷の3つ、という整理でいいと思います。
最後に、この記事の要点を振り返っておきます。

- 減額の目安は1cm未満で0円、カードサイズで約1万円、A4サイズ級で1万〜2万円。へこみと部位で重くなる
- 査定は標準状態0点からの減点方式。1点=約1,000円は簡便化した目安で、車格により数百〜千数百円と幅がある
- 自費修理はほぼ持ち出し。減額幅は業者の安い修理コストが基準で、修理跡自体も10点程度の減点になる
- 自分で磨いていいのは、爪が引っかからず水で消える傷だけ。磨きすぎは減額を増やす方向に働く
- 車検に通らない破損と、サビが進行中の下地むき出しの傷は別枠。損得ではなく「売れる状態か」「悪化するか」で判断する
- 傷は隠さず申告する。写真と申告が、契約後の減額に対する一番の備えになる
傷を見つけるとつい「直さなきゃ」と思ってしまいますが、売却の場面ではほとんどの場合、触らないのが一番お金が残ります。私自身も車を手放すときは、まず爪を滑らせて深さを確かめるところから始めるようにしています。
なお、この記事の金額はすべて一般的な目安です。査定の基準や制度は改定されることもあるので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。ご自身の車をどう扱うかの最終的な判断は、複数社の査定を受けたうえで、査定士や板金の専門家に相談しながら決めてくださいね。
あわせてチェック
車の維持費でいちばん見直し効果が大きいのは、実は自動車保険かもしれません。

こんなお悩みも:
- 車検、どこで受けるか決めてる? → 楽天Car車検とEPARK車検を比較
- 営業電話ラッシュなしで車を売る → 窓口1社で完結する売り方
関連記事:車買取に必要な書類一覧